理学療法士

脱水と低血圧と頻脈と高齢者

脱水症の症状 「脱水症」とは、体内の水分が足りない状態のことをいいます。 「脱水」になると、自覚症状としては口の渇きや体のだるさ、立ちくらみなどを訴えることが多いです。皮膚や口唇、舌の乾燥、皮膚の弾力性低下、微熱などが起こります。そのほかに…

運動のアルツハイマー病予防効果の仕組み

はじめに 運動がアルツハイマー病のリスクを減少させる要因が、ホルモンのイリシンにあることが分かったとの研究結果が、米マサチューセッツ総合病院の研究チームにより発表された。 イリシンは、運動中に体内を循環するホルモン。学術誌Neuron(ニューロン…

膝痛の原因

変形性膝関節症の正体 変形性膝関節症は、特定の組織の症状を示す病名でない。 あくまで、レントゲンやエコー検査画像に映る軟骨や骨の変形を表しているにすぎず、単なる病名にあたります。 そのため、実際にどの組織が痛みを感知しているかは示していません…

認知症のリスク要因としての2型糖尿病

目的: 2型糖尿病は、男性よりも女性の心血管疾患の過剰なリスクをもたらします。糖尿病も認知症の危険因子ですが、協会が女性と男性のどちらで類似しているかは不明のままです。未発表のデータのメタ分析を行い、糖尿病の女性と男性との性別の関係を推定しま…

血圧低下にアイソメトリックトレーニングが最適

概要 1万6,000人弱を組み入れた270件の無作為化試験の系統的レビューおよびメタ解析において、血圧を低下させる最も有効な運動法としてアイソメトリック(等尺性筋収縮または静的)トレーニングが浮上した。 結論 本結果は、血圧コントロールに対する新たな…

認知症または認知障害を伴う血圧低下の関連付け

質問降圧療法による血圧低下と認知症または認知障害の発生率との間には関連がありますか? はじめに高血圧は、特に中年期に、認知症と後年の認知障害に関連しています。1,2,3,4 一部の無作為化臨床試験では、血圧–下降治療による認知症のリスクが低いことが報…

半側空間無視6

ニューロモディレーション技術の応用 近年では、反復経頭磁気刺激(rTMS)や経頭蓋直流電気刺激(tDCS)を用いたニューロモディレーション・アプローチも積極的に導入され、一定の臨床効果をあげている。例えば、急性期ー慢性期脳卒中患者を対象にして、非病巣…

半側空間無視5

USNに対する従来型臨床介入 USNに対する特異的な介入方法として、多くのアプローチがこれまで行われてきた。その方法は、トップダウンアプローチとボトムアップアプローチに大別される。 トップダウンアプローチは意識的な再学習や代償のことであり、主には…

半側空間無視4

従来型のUSNの評価とその扱い USNの評価には、線分抹消試験を含んだ行動性無視検査(BIT)が広く使用される。この検査で、包括的な無視症状の把握が可能になる。しかし、机上検査結果と生活上の無視症状の乖離が指摘されている。中でも、慢性期では、BITのみ…

半側空間無視3

机上検査とADLの違い 臨床上、線分抹消試験などの机上検査はクリアできるものの、歩行時や車いす駆動時にUSN症状が顕著になるのはなぜか。 机上検査のほとんどは線を抹消するといった目的に基づき課題を遂行するため主にトップダウン注意を利用するが、突然…

半側空間無視2

半側空間無視の発現に関わる神経メカニズム ~続き~ 人間が目的もって作業している際には、トップダウンに対象に対して注意を働かせる。この際、対象への注意の選択・集中は、後頭葉の視覚領域とともに、頭頂間溝、上頭頂小葉、前頭眼野といった脳の背側領…

半側空間無視

半側空間無視の責任病巣およびネットワーク 今日では、多くの研究より、USNは損傷箇所というよりも、右半球のネットワーク障害により起こると考えられている。したがって、頭頂葉損傷や前頭葉損傷であっても、あるいはそれらを結ぶ白質線維損傷でも、USNは出…

フレイル対策 ~タンパク質はいつ摂れば良いか~

フレイル対策や介護予防で、タンパク質を強化することは重要ですが、課題となるのがそのタイミングです。 一般的にタンパク質を強化するタイミングとして運動直後が推奨されています。 これは、運動後1から2時間で筋タンパク合成が促進されるので、この時…

筋膜組織の生体力学的特性

目的: 筋膜組織の耐荷重機能と、生理学的または過剰な負荷時に微小断裂が起こりやすいことを強調し、筋膜の固有受容神経支配と侵害受容神経支配の組織学的証拠を検討し、非特異的腰痛におけるヒト腰部筋膜の後層の損傷、炎症、および/または神経感作の潜在…

筋膜

筋膜 筋肉の周りや皮膚の下には、筋膜と呼ばれる非常に薄い膜が張っています。この筋膜は全身に張り巡らされており、身体を支えるひとつの要素として重要な役割を果たしています。 背中や腰にも胸腰筋膜という膜が張っており、背中が丸まってしまわないよう…

腰痛の潜在的な原因としての腰背筋膜

概要 腰背筋膜 (LF) は、特発性腰痛の原因となる可能性があると提案されています。実際、組織学的研究は、LF内に侵害受容性遊離神経終末が存在することを実証しており、さらに慢性腰痛患者では形態学的変化を示すようである。ただし、これらの特徴が痛みの病…

腰背部痛における胸腰筋膜

腰背部痛を有する人は極めて多く、平成 28 年国民生活基礎調査の自覚症状1)に関して男性では 1 位、女性では 2 位を占めており、日常のリハビリテーションにおいても遭遇する頻度の高い症状の 1 つである。腰背部痛は原因が明らかなものと、明らかでない非…

運動による脳の覚醒効果

ウォーキングに相当する軽い運動で集中力や記憶力が高まります。その脳内メカニズムは、脳の神経核の一つで脳幹に存在する青斑核の活性化であることを示唆するデータが、MRI(磁気共鳴画像化装置)を用いた実験で得られました。 軽い強度の運動を行うと頭がス…

筋トレと皮膚老化

概論 立命館大学スポーツ健康科学部の藤田聡教授らの研究チームは、ポーラ化成工業株式会社と共同し、40-50 代の女性を対象とした運動介入で、有酸素性運動と筋力トレーニングの両方が皮膚の弾力性と真皮構造を改善させること、特に筋力トレーニングは真皮の…

立ち上がり動作のバランスの捉え方

バランスのレベル 鈴木はバランスとその調整能力を4つのレベルに分類している。 レベル1:圧中心を調整して重心の投影点を支持基底面のほぼ中央に保持できる段階。 レベル2:支持基底面の全領域に重心の投影点を保持できる段階。支持基底面の圧中心が移動…

健康高齢女性の立ち座り動作の特徴:地面反力測定による着座衝撃評価

概 要 目的 : この研究の目的は、高齢者の StandTS 動作の生体力学を調査し、座位衝撃力を測定することで最適な StandTS 動作を特定することでした。参加者の足と椅子からの地面反力、体幹と足首の角度、垂直速度、姿勢筋活動を、それぞれフォースプレート、…

スロートレーニングは速筋を鍛えるのに効果的

要点 1.加齢により、白筋が衰えるのか? 2.スロートレーニングでは、持続的に筋を収縮させるので、持久力に優れる赤筋に効果的なのではないか? 結論 加齢により、白筋が衰えるのかについては、結論からいうと、加齢により白筋(以下、速筋)が衰えます…

受動的な筋肉の硬さは、筋肉内結合組織の能動的な収縮性に影響される可能性

序章 骨格筋が受動的に伸ばされると、運動ニューロンが静止していて筋線維が積極的に収縮していないときでも、測定可能な抵抗を示します。この動作は受動的筋硬直と呼ばれ、受動的弾性、受動的筋コンプライアンス、受動的伸展性、安静時張力、または受動的筋…

糖尿病の高齢者における股関節位置感覚とグリコシル化ヘモグロビンの比較

概要 2 型糖尿病 (T2DM) 患者では、股関節位置感覚 (JPS) の精度が損なわれる可能性があります。股関節 JPS が障害されると、姿勢制御や体のバランスが変化する可能性があります。この研究の目的は、(1) T2DM と無症候性の股関節 JPS を比較すること、(2) 股…

筋膜の機械的特性と生理学的課題

1.筋膜組織の役割と病理学的反応 筋膜は頭からつま先まで広く分布しています。筋肉、骨、血管、神経、内臓を包み込んで浸透し、深さの異なるさまざまな層を構成しており 、腱に見られる規則的に配置されたコラーゲン線維とは明らかに異なる、不規則に配置…

筋肉から筋筋膜ユニットへ

1.要約 「運動単位」または「筋肉」は、運動の制御における定量的要素と長い間考えられてきました。 しかし、近年、新しい研究により、筋線維と筋肉内結合組織、および筋肉と筋膜の間の強い相互作用が証明されており、筋肉はもはや運動を組織する唯一の要…

糖尿病患者における足底筋膜の評価

足底筋膜(PF)は、足のアーチを支える結合組織の厚い帯です。また、足の生体力学においても重要な役割を果たしています。 糖尿病は代謝異常を特徴とする慢性疾患であり、糖尿病関連の高血糖はタンパク質の非酵素的糖化を促進すると言われています。 これらの…

糖尿病患者におけるかかとパッドの厚さの超音波検査評価

糖尿による高血糖および進行したグリコシル化最終産物の形成の増加は、糖尿病患者に見られる軟部組織の変化の大部分を引き起こします。 この影響は、特に菲薄化または肥厚、繊維の混乱、石灰化および低エコー病巣が見られる変化の中にあるかかとパッドおよび…

筋膜トリガーポイントに虚血性圧迫を適用した後の筋硬度の変化

Aleksandra Kisilewiczらの研究の目的は、プロバスケットボール選手の僧帽筋の硬さに対する圧迫トリガーポイント療法の効果(パートA)と、アスリートの臨床評価におけるMyotonPROデバイスの信頼性(パートB)を評価することです(2018)。 研究のパートAに…

定期的な筋肉の収縮により、長時間椅子に座っている間に筋肉の硬直が軽減される可能性

長時間座っていると筋骨格系の障害に関連する可能性があるという証拠が増えています。 椅子に座っているときに背中の筋肉の活動が低下することは一般に認識されていますが、筋肉活動がわずかまたはまったくない場合の筋肉の硬さへの影響についてはほとんど知…