変形性膝関節症の正体
変形性膝関節症は、特定の組織の症状を示す病名でない。
あくまで、レントゲンやエコー検査画像に映る軟骨や骨の変形を表しているにすぎず、単なる病名にあたります。
そのため、実際にどの組織が痛みを感知しているかは示していません。
膝が痛む原因について、多くの方は「加齢や長年の膝への負担で、膝軟骨がすり減って、膝軟骨が互いに摩擦しあうから」と考えていることが多くあります。
しかし、膝軟骨には痛みを感知する神経が通っていません。痛みを感知する神経がないため、膝軟骨が摩耗しあっても痛みを感じる・生じることはありません。
つまり、「軟骨由来の痛み」が生じることはなく、画像検査での「異常」は痛みに直結しないといえます。
痛みを発している部位
痛みを発している組織は、どこにあるのでしょうか。
代表的なものとしては次の4つが言われています。
①膝蓋下脂肪体
②半膜様筋(膝の内側)
③膝内側の関節包(膝関節の内部)
④膝窩脂肪体(ひざの裏側)
それぞれの原因について
脂肪体の痛みの原因は、大きく分けると次の2つとなります。
①脂肪体の線維化による「柔軟性の低下」
②変形した関節より「脂肪体の通り道が狭まること」
そのため、硬くなった脂肪体の可動性や柔軟性を向上するためのモビライゼーションを行うことや(①)、周辺組織である例えばパテラの直下を上下左右に動かすことにより通り道を広げることを目的としてアプローチすることが有効となります。
半膜様筋に痛みが生じると、膝関節の屈曲伸展の動作が行いにくくなります。
膝OAでは、膝関節がO脚変形しますが、同時に下腿が外側に捻じれることが大きな特徴としてあります。この捻じれにより、半膜様筋と腓腹筋とに摩擦が生じて痛みが発生するとされています。