脱水と低血圧と頻脈と高齢者

 

脱水症の症状


 「脱水症」とは、体内の水分が足りない状態のことをいいます。

 「脱水」になると、自覚症状としては口の渇きや体のだるさ、立ちくらみなどを訴えることが多いです。皮膚や口唇、舌の乾燥、皮膚の弾力性低下、微熱などが起こります。そのほかに食欲低下、脱力、意識障害血圧低下、頻脈なども出現しやすいです。

 

 

脱水症の原因


 脱水は、「水分摂取量の減少」もしくは「水分喪失量の増加」、さらにはこの両方が同時に発生することで起こります。

 

 高齢者は特に「水分摂取量の減少」に気を付ける必要があります。口渇中枢の感受性低下によりのどが渇きにくくなり、水分補給が減少します。さらに、失禁(しっきん;おもらし)や夜間のトイレなどを気にして水分を取らず我慢したり、意欲低下などから水分摂取が思うようにできなくなり、最終的に脱水に傾く方もいます。

 

水分喪失量の増加」は、一般的には下痢やおう吐、糖尿病性ケトアシドーシス、熱傷などの病気で起こります。高齢者の場合は、老化により基礎代謝量が減少し、代謝によって生成される水分が減少しています。特に筋肉・皮下組織などにおける備蓄水分量が減少しますので、特別な病気がなくても暑さなどの環境の変化などで容易に「脱水」になります。

 

 

高齢者の脱水状態を発見するには


 高齢者では「何となく元気がない」「ぐったりしていて反応が鈍い」というよう場合にも脱水の可能性があります。また簡単に意識の混濁(脱水性せん妄)や失神を起こす場合も少なくありません。

 

 特に高齢になればなるほど、脱水状態の時間や程度が進むと重症化しやすいので、少しでも早期に脱水状態を発見することが必須です。そのためには、家族や介護者が可能な限り、「普段の食事摂取量」と「食事以外の飲水量」を慎重に観察してあげることが重要です。

 

 

 高齢者では以下の症状が複数認められる時には著明な水分不足が考えられますので注意が必要です。

 

舌・口腔内乾燥

皮膚の乾燥、皮膚の弾力性・緊張度低下
血圧低下・頻脈
疲労感、脱力、食欲低下、意欲低下、立ちくらみ
意識障害・意識の鈍化 (「なんとなく元気がない」や「ぐったりしていて反応が鈍い」など)