2024-03-01から1ヶ月間の記事一覧

歩行速度と免疫機能の関連性

高齢者の身体組成、筋収縮力、免疫細胞に対する異なる速度での歩行トレーニングの効果。単盲検無作為化比較試験 Park, Sihwa, Sang-Kyun Park, and Yong-Seok Jee. "Effects of walking training at different speeds on body composition, muscle contracti…

骨粗鬆症患者の骨粗鬆症管理と転倒予防のための運動ガイドライン

骨粗鬆症患者の骨粗鬆症管理と転倒予防のための運動ガイドライン Bae S, Lee S, Park H, et al. Position Statement: Exercise Guidelines for Osteoporosis Management and Fall Prevention in Osteoporosis Patients. J Bone Metab. 2023;30(2):149-165. h…

なぜ、椎体骨折なのに鼠径部や腹部、臀部が痛くなるのか?

急性骨粗鬆症性胸腰椎骨折における疼痛部位と骨折の種類との関連性 Zhang, Haiping, et al. "Pain Location Is Associated with Fracture Type in Acute Osteoporotic Thoracolumbar Vertebral Fracture: A Prospective Observational Study." Pain Medicine…

椎体骨折の保存療法。国際的コンセンサス

骨粗鬆症性椎体骨折の非薬理学的および非外科的管理に関する国際的コンセンサス Ponzano, Matteo, et al. "International consensus on the non-pharmacological and non-surgical management of osteoporotic vertebral fractures." Osteoporosis Internati…

円背姿勢の支持機構。受動的張力発生のメカニズム

胸腰椎への後方介入が受動的に安定した屈曲姿勢に及ぼす生体力学的影響について Haupt, Samuel, et al. "The biomechanical consequence of posterior interventions at the thoracolumbar spine on the passively stabilized flexed posture." Journal of B…

老化と肥満の関連性:神経細胞の変化

特に食事量が増えたわけでもないのに、中年になると急に太る人は多い。 米国では、50歳の人は若い時より平均で15キロも太っているという国立衛生研究所の統計がある。老化によって基礎代謝が低下するから、というのが定説だ。筋肉量と活動量が減るから食事量…

筋活動比較研究:側方段差昇降運動の効果

側方からの段差昇降運動が、股関節周囲筋の活性化において他の運動と比べてどの程度効果的かを、いくつかの研究結果を基に考察します。 Stelzenmueller et al. (2012)は、以下の6つの運動における股関節周囲筋の筋活動を比較しています。 側方段差昇段(30cm)…

大殿筋の解剖学・運動学と歩行時の役割

大殿筋の解剖学・運動学と歩行時の役割とは? Contents 1.大殿筋は人体で最大級の筋肉 2.神経の走行と栄養血管 3.大殿筋の筋トレ(自重) 4,大殿筋の臨床意義 大殿筋は人体で最大級の筋肉 まずは基本的な知識から確認していきましょう。 起始 浅層線維:腸骨…

交感神経優位と副交感神経優位における心臓の心拍出量の差

交感神経優位と副交感神経優位における心臓の心拍出量の差は、以下の数値で表されます。 **交感神経優位時:** 約 5 ~ 8 L/分 **副交感神経優位時:** 約 3 ~ 5 L/分 差:**約 2 ~ 3 L/分** **もとになる論文** * Berne RM, Levy MN. Principles of Physi…

手術はなくなる?心臓弁の交換や動脈硬化はカテーテルで治療

高齢者に多い慢性心不全の代表的な原因が「僧帽弁閉鎖不全症」だが、2018年4月に新治療法が保険適用になった。「僧帽弁とは心臓の左心房と左心室の間にある大きな2枚の弁で、血液の逆流を防止してくれます。これがうまく閉じないと、左心房から左心室…

「昼寝」を極めれば睡眠負債は返済できる

正しい「昼寝」を極めれば睡眠負債はしっかり返済できる 世界でいちばん睡眠時間が短い日本では、少しずつ睡眠不足が蓄積する「睡眠負債」を抱えている人が少なくない。そんな眠りの借金を返済するには、「昼寝」がベストだという。東京疲労・睡眠クリニック…

睡眠時無呼吸症候群の治療装置CPAPが、心臓を守る

睡眠時無呼吸症候群の治療装置CPAPが心臓を守り若さを保つ 睡眠時無呼吸症候群(SAS)に代表される「睡眠呼吸障害」は、心臓疾患の大きなリスク因子であることが知られています。今年3月には「循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライ…

**強い脈と弱い脈が混在する場合の疾病の見分け方のポイント**

**強い脈と弱い脈が混在する場合の疾病の見分け方のポイント** 出典: * [脈診学による病態生理把握法](https://www.jstage.jst.go.jp/article/kango/37/10/37_10_1327/_pdf/-char/ja) **1. 脈の強弱が左右対称か非対称か** * 対称性:心疾患の可能性が高い…

心房細動で、脈の強さが変動するメカニズム

心房細動(AF)は、心房が不規則かつ無秩序に収縮する不整脈です。この不規則な収縮により、心拍出量や脈の強さが変動します。 **脈が強くなるメカニズム** * **心房の収縮が強いとき:**AFでは、心房の収縮が不規則かつ無秩序ですが、収縮が強い場合があり…

触診で、強い脈と弱い脈が混在している場合

触診で、強い脈と弱い脈が混在している場合の疾病の可能性は、以下のようなものがあります。 * **心房細動**:不規則で無秩序な心拍により、脈の強さが変動します。 * **心室細動**:心室が不規則で無秩序に収縮し、非常に弱い脈または触知できない脈を引き…

矢状面での姿勢制御における足関節の役割

矢状面における姿勢制御に関与する関節の貢献割合 矢状面(前後方向)の姿勢制御に関与する関節の貢献割合は、以下の論文で報告されています。 "Contribution of Ankle, Knee, and Hip Strategies to Balance Control During Quiet Standing in Young and El…

加齢に伴う下肢筋力の低下と、矢状面での姿勢制御能力に与える影響

加齢に伴う下肢筋力の低下が、矢状面での姿勢制御能力に与える影響については、いくつかの研究から以下のことがわかっています。 足関節Jonkers et al. (2003)の研究では、高齢者は若年者に比べ、立位時の足関節底屈筋力が低下していることが報告されていま…

前額面における姿勢保持と股関節の役割

前額面での姿勢保持に関与する主要な関節とその働きの割合については、以下の研究結果が参考になります。 Sawai et al. (2020)の研究では、側方ステップ動作時の関節モーメントを解析しています。その結果は以下の通りです。 股関節: 体重移動期: 60%支持脚…

バランス能力の向上に効果的な側方からの昇降運動

側方からの昇降運動は、前方からの昇降運動と比較して、以下の理由からバランス能力の向上により効果的です。 動的姿勢制御能力の向上側方からの昇降では、重心の移動が前額面で生じるため、体幹と下肢の筋群が前額面での姿勢制御に働きます。これにより、動…

前からの昇降と側方からの昇降におけるトレーニング効果の違い**

**前からの昇降と側方からの昇降におけるトレーニング効果の違い** **筋活動** * **前からの昇降:** 大腿四頭筋、ハムストリングス、臀筋の活動が高い。 * **側方からの昇降:** 股関節外転筋(大腿筋膜張筋、中殿筋など)の活動がさらに高い。 **筋力** * **…

認知バイアスが人間の記憶に及ぼす影響

**認知バイアスが人間の記憶に及ぼす影響に関する研究** 認知バイアスは、情報処理と記憶に системати的な歪みをもたらす人間の思考パターンのことです。これらのバイアスは、記憶の正確性に重大な影響を与える可能性があります。 **数値データ** * **確認バ…

会話の記憶の曖昧さに関する数値データ

**会話の記憶の曖昧さに関する数値データ** **再認の正確さ:** * Graesser、Nakamura、およびGoldman (1999) による研究では、参加者は、スキーマに一致する会話とスキーマに一致しない会話を提示されました。スキーマに一致する会話の再認率は 82% であった…

心肺機能を上げるためのランニングで、HIITを用いたやり方

HIITは、高強度インターバルトレーニングの略称で、短い高強度運動と低強度運動を交互に行うトレーニング方法です。HIITを用いたランニングは、心肺機能の向上だけでなく、脂肪燃焼や糖尿病リスクの低下にも効果的です。 一般的なHIITランニングの方法は以下…

ガムと嚥下機能

**ガムと嚥下機能** ガムを噛むことは、嚥下機能の向上に役立つことが研究で示されています。 嚥下とは、食物や液体を口から胃に運ぶ複雑なプロセスです。このプロセスには、口腔期、咽頭期、食道期の3つの段階があります。 ガムを噛むと、以下のような嚥下…

毎日50段超階段を昇るだけで血管が健康に

血管の健康を守る「血管内皮」 「人は血管とともに老いる」という言葉を聞いたことはありませんか?これは米国医学教育の祖であり偉大な内科医でもあったウィリアム・オスカー先生の言葉です。血管は体内の隅々まで血液を介して栄養と酸素を運び、同時に二酸…

心肺機能を上げるためのランニングで、HIITを使ったやり方

HIITとは、高強度インターバルトレーニングの略称で、短い高強度運動と低強度運動を対話的に行うトレーニング方法です。 HIITを使ったランニングは、心肺機能の向上だけでなく、脂肪燃焼や糖尿病リスクの低下にも効果的です。 一般的なHIITランニングの方法…

心不全と睡眠時無呼吸症候群の関係**

**心不全と睡眠時無呼吸症候群の関係** 心不全と睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、互いに関連し、悪循環を生み出す可能性のある2つの状態です。 **疫学** * 心不全患者の30~60%にSASが存在します。 * SAS患者の40%以上に心不全が発生するリスクがあります。 …

段差昇降運動による歩行の安定性向上の知見

歩行の安定性向上には、様々な要因が関係しています。 論文の知見から、段差昇降運動の望ましい運動量について概説します。 Masumoto et al.(2019)の研究によると、高齢者を対象に、週3回、3か月間の段差昇降運動(高さ20cm)を行った結果、歩行能力が向上した…

心不全が夜間に悪化する理由:

**心不全が夜間に悪化する理由:** **理由:** * **交感神経活動の低下:** 夜間は交感神経活動が低下するため、心拍数と血圧が低下します。このため、心不全患者では心臓への血流が低下し、症状が悪化することがあります。 * **体液貯留:** 夜間は重力によ…

段差昇降運動が高齢者の転倒予防に繋がるメカニズム:**

**段差昇降運動が高齢者の転倒予防に繋がるメカニズム:** **メカニズム:** * **筋力向上:** 段差昇降運動は、特に下半身の筋力、特に大腿四頭筋とハムストリングを強化します。筋力が向上すると、高齢者はより安定して歩くことができ、転倒のリスクが低下…