大殿筋の解剖学・運動学と歩行時の役割

大殿筋の解剖学・運動学と歩行時の役割とは? Contents 1.大殿筋は人体で最大級の筋肉 2.神経の走行と栄養血管 3.大殿筋の筋トレ(自重) 4,大殿筋の臨床意義 大殿筋は人体で最大級の筋肉 まずは基本的な知識から確認していきましょう。 起始 浅層線維:腸骨…

筋と筋の交差部で痛みが出やすいメカニズムとエビデンス

筋と筋の交差部は、複数の筋肉が重なり合い、摩擦や圧迫を受けやすいため、痛みが出やすい部位です。以下、痛みが出やすいメカニズムとエビデンスを詳しく説明します。 摩擦による炎症 筋肉が収縮・弛緩する際に、交差部で互いに擦れ合い、炎症を引き起こす…

脚のつり(腓腹筋痙攣)と筋膜の関係

**脚のつり(腓腹筋痙攣)と筋膜の関係** 腓腹筋痙攣(脚のつり)は、腓腹筋(ふくらはぎの筋肉)が不随意に収縮し、激しい痛みを引き起こす状態です。筋膜は、筋肉やその他の組織を包み込む結合組織です。 脚のつりと筋膜の関係については、次のような仮説…

運動によって骨格筋から分泌されるホルモン物質「マイオカイン」

運動は、骨格筋を使って身体を動かしたり支えたりすることで、全身にさまざまな効果をもたらします。最近の研究では、運動が身体に与える影響やそのメカニズムについて、より深く理解されるようになってきました。例えば、ジムで部位別に筋肉を大きくするト…

「筋」より「筋膜」がより痛みを出しやすい理由

筋より筋膜がより痛みを出しやすいことを示唆するエビデンスや根拠は、いくつかの論文によって報告されています。そのうちの一部を紹介します。 1. **筋膜の痛みは、筋の痛みよりも一般的である** 筋膜の痛みは、筋の痛みよりも一般的であることがいくつかの…

生理学的理解:筋膜の働きと重要性

筋膜の生理学的理解 筋膜とは、その名のとおり、筋肉を包む膜のことですが、筋全体を覆っている最外層の筋上膜と、いくつかの筋線維を束ねてそれを覆っている筋周膜、さらには個々の筋線維を包む筋内膜という3種類の筋膜に分けられます。 そのなかでも、筋…

腰椎レベルの筋

腰椎周囲筋群の機能には、脊椎の運動、姿勢の維持、脊椎のバランス機構がある。 腰椎伸筋群は、胸腰筋膜により被覆されてコンパートメントを形成している。 腰椎伸筋群は多裂筋と脊柱起立筋に大別される。 上位腰椎では脊柱起立筋の方が 断面積は広く、中位…

高強度インターバル・ウォーキング・トレーニングが中高年の体力と血圧に及ぼす影響

目的高強度インターバルウォーキングトレーニングが、中強度連続ウォーキングトレーニングよりも大腿筋力およびピーク有酸素容量を増加させ、血圧を低下させるかどうかを検討すること。 参加者と方法2004年5月18日~2004年10月15日(5ヵ月間の研究期間)、平…

パーキンソン病患者の小刻み歩行に対する横歩きの即時効果

【目的】パーキンソン病の歩行障害のうち、すくみ足の改善に対しての報告を目にすることはあるが、小刻み歩行の改善に対しての報告は少ない。パーキンソン病での歩行は健常人の歩行と比較して、左右への重心移動が少なく、この結果、振り出しが困難となって…

すくみ足・小刻み歩行を呈するパーキンソン病患者に対する歩行訓練

要 旨パーキンソン病 患者 に対する歩行訓練の 効果 を検討する目的で ,パーキンソン病患者 と健常人との 体幹・下肢の筋活動及び重心移動を比較・検討した。 パーキンソン病患者の 筋活動 は歩行時持続性の 高い筋活動 を認め,その際左右への重心移動は …

すくみ足・小刻み歩行を呈するパーキンソン病に対する歩行訓練

要 旨パ ーキンソン病患者に対する歩行訓練の効果を検討する 目的で ,パ ーキ ン ソ ン 病患者 と健常人 との 体幹・下肢の筋活動及び重心 移動を比較 ・検討した。 パ ーキンソン病患者の 筋活動 は歩行時持続性の 高い筋活動 を認め,その際左右への 重心…

脊柱管狭窄症

脊柱管狭窄症は、医学的には「腰部脊柱管狭窄症」という名称が正式です。 神経の走る空間が狭くなる病状です。 脊柱管とは、イメージしやすいように簡単に言うと、背骨の中にあるトンネル(脊髄神経)のことで、そこには脳から続いている脊髄神経が通ってい…

棘下筋に対する8週間の低強度・低速運動による肩関節外旋エクササイズの効果

ABSTRACT 一般に、棘下筋の選択的トレーニングとして低強度トレーニングが推奨されている。本研究では、低強度でゆっくりとした動作の肩の外旋運動を8週間介入することで、肩の外旋に伴う筋力および棘下筋の断面積(CSA)の増加につながるかどうかを検討する…

上殿皮神経の皮膚枝と特に大腿筋膜張筋の神経について

ABSTRACT 日本人成人屍体 23 体のハ ー フベルプ 39 個(右個、左幻個)を用いて、上殿皮神経からの皮膚枝を研究した。枝の詳細な記述は現在のところ文献にはない。これらの枝のほとんどは大腿筋膜張筋を貫通し、外側臀部の中央に分布していた。 ※上殿皮神経障…

運動のアルツハイマー病予防効果の仕組み

はじめに 運動がアルツハイマー病のリスクを減少させる要因が、ホルモンのイリシンにあることが分かったとの研究結果が、米マサチューセッツ総合病院の研究チームにより発表された。 イリシンは、運動中に体内を循環するホルモン。学術誌Neuron(ニューロン…

膝痛の原因

変形性膝関節症の正体 変形性膝関節症は、特定の組織の症状を示す病名でない。 あくまで、レントゲンやエコー検査画像に映る軟骨や骨の変形を表しているにすぎず、単なる病名にあたります。 そのため、実際にどの組織が痛みを感知しているかは示していません…

フレイル対策 ~タンパク質はいつ摂れば良いか~

フレイル対策や介護予防で、タンパク質を強化することは重要ですが、課題となるのがそのタイミングです。 一般的にタンパク質を強化するタイミングとして運動直後が推奨されています。 これは、運動後1から2時間で筋タンパク合成が促進されるので、この時…

筋膜組織の生体力学的特性

目的: 筋膜組織の耐荷重機能と、生理学的または過剰な負荷時に微小断裂が起こりやすいことを強調し、筋膜の固有受容神経支配と侵害受容神経支配の組織学的証拠を検討し、非特異的腰痛におけるヒト腰部筋膜の後層の損傷、炎症、および/または神経感作の潜在…

体幹機能障害と胸腰筋膜

体幹機能障害 現在、臨床的に注目されているのは、腹横筋と多裂筋である。 自動組織である腰椎骨盤領域を囲む胸腰筋膜との間に形成される深部の筋一筋膜コルセットが機能することにより腰椎骨盤領域の安定性が向上する。 腹横筋が両側性に収縮すると同時に、…

筋膜由来の慢性肩痛:虚血性圧迫療法

目的この臨床試験の目的は、慢性肩痛患者の肩トリガーポイントに対する虚血性圧迫を用いた15種類の筋膜療法治療の効果を評価することでした。 メソッド41人の患者が、棘上筋、棘下筋、三角筋、および上腕二頭筋腱にあるトリガーポイントに対する虚血性圧迫か…

筋肉の硬さやこわばりの増加、加齢に伴う骨格筋障害のあまり考慮されていない要素

要約 高齢者は、椅子から立ち上がったり、歩いたり、階段を上ったりするなど、日常生活の動作をよりゆっくりと行っています。これはそもそも、筋肉量の減少よりもさらに顕著な筋肉の収縮力の喪失によるものです。さらに、二次的ではあるが無視できない要素は…

慢性疼痛と筋膜の関係

痛みは、急性痛と慢性痛に分類されます。急性痛は、外傷や疾患などによる組織の損傷に対する反応として起こります。一方、慢性痛は、一定期間以上持続する痛みで、原因が明確でない場合が多く、神経系の異常が関与していることがあります。 急性痛は、組織の…