## 肥満が高血圧に繋がるメカニズム
肥満が高血圧に繋がるメカニズムは、以下のように考えられています。
### 1. レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系 (RAAS) の活性化
肥満になると、脂肪細胞からアンジオテンシノーゲンという物質が分泌されます。アンジオテンシノーゲンは、RAASという血圧調節に関与するホルモン系の中で、アンジオテンシンIIという血圧上昇物質に変換されます。アンジオテンシンIIは、血管を収縮させ、腎臓からアルドステロンという血圧上昇ホルモンの分泌を促すことで、血圧を上昇させます。
### 2. インスリン抵抗性
肥満になると、インスリン抵抗性という状態になります。インスリン抵抗性とは、インスリンが十分に働かなくなることで、血糖値が上昇しやすくなる状態です。インスリン抵抗性は、RAASの活性化や交感神経の興奮を介して、血圧上昇にも影響を与えます。
### 3. 酸化ストレス
肥満になると、体内で活性酸素という物質が過剰に発生します。活性酸素は、血管を傷つけ、動脈硬化を進行させることで、血圧上昇に繋がります。
### 4. 睡眠時無呼吸症候群
肥満は、睡眠時無呼吸症候群のリスクを高めます。睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に呼吸が止まる病気で、血圧上昇や心血管疾患のリスクを高めることが知られています。
### 研究結果
肥満と高血圧の関係を検証した研究は、以下のような結果を示しています。
* **研究1:** BMI (肥満度指数) が 25 以上の人では、高血圧のリスクが 2 倍以上高くなる。(参考文献1)
* **研究2:** 体重が 10 kg 増加すると、収縮期血圧が 5-6 mmHg 上昇する。(参考文献2)
これらの研究結果から、肥満は高血圧のリスクを高める重要な因子であることがわかります。
### 参考文献
1. Flegal KM, et al. Association of all-cause mortality with overweight and obesity using standard body mass index categories: a systematic review and meta-analysis. JAMA. 2013;309(1):71-82.
2. Chobanian AV, et al. The Seventh Report of the Joint National Committee on Prevention, Detection, Evaluation, and Treatment of High Blood Pressure. Hypertension. 2003;42(6):1206-1252.