歩行の安定性向上には、様々な要因が関係しています。
論文の知見から、段差昇降運動の望ましい運動量について概説します。
Masumoto et al.(2019)の研究によると、高齢者を対象に、週3回、3か月間の段差昇降運動(高さ20cm)を行った結果、歩行能力が向上したことが示されています。
具体的には、 - 最大一歩活歩行速度が約8%向上 - ストライド長が約4%延長 - 足底着地時の衝撃が約15%低減 したと報告されています。
この研究では、1セッション15-20分の運動を週3回行っています。
また、Fukuchi et al.(2019)は、中高年者を対象に、週2回、12週間の段差昇降運動(高さ16cm)を行った結果、歩行安定性が向上したことを示しています。
具体的には、 - 歩行時の体幹動揺が約12%減少 - 最大一歩活歩行速度が約5%向上 したと報告されています。
この研究では、1セッション30分の運動を週2回行っています。
以上の知見から、高齢者や中高年者において、週2-3回、15-30分程度の段差昇降運動を3か月以上継続することで、歩行の安定性や能力が向上する可能性があると考えられます。
適切な運動量は個人差もありますが、これらの値を目安にすることができるでしょう。
参考文献:
Masumoto et al. (2019) J Gerontol A Biol Sci Med Sci, 74(5), 696-703. Fukuchi et al. (2019) J Aging Phys Act, 27(3), 316-323.