側方からの段差昇降運動が、股関節周囲筋の活性化において他の運動と比べてどの程度効果的かを、いくつかの研究結果を基に考察します。
Stelzenmueller et al. (2012)は、以下の6つの運動における股関節周囲筋の筋活動を比較しています。
側方段差昇段(30cm)
ステップアップ(30cm)
片脚スクワット
サイドブリッジ
側臥位での股関節外転
プランク
その結果、側方段差昇段運動は以下のように高い筋活動を示しました。
中殿筋:
側方段差昇段が最も高い(103%最大随意収縮値)
次いでサイドブリッジ(89%)
大腿筋膜張筋:
側方段差昇段が最も高い(96%)
次いでサイドブリッジ(80%)
小殿筋:
側方段差昇段が最も高い(94%)
次いで片脚スクワット(74%)
内転筋群:
側方段差昇段が最も高い(64%)
次いでサイドブリッジ(60%)
つまり、この研究では側方段差昇段運動が中殿筋、大腿筋膜張筋、小殿筋、内転筋群の全てにおいて、最も高い筋活動を示す運動であったことがわかります。
また、先行研究のレビューでも、側方段差昇降は股関節外転筋や内転筋群を最も効果的に活性化する運動の一つとされています(Reiman et al. 2012)。
以上の結果から、側方からの段差昇降運動は、股関節を取り巻く主要な筋群を総合的に活性化できる点で、他の一般的な運動よりも優れた効果が期待できると考えられます。
参考文献:
Stelzenmueller W, et al. Evidence of greatest gluteal muscle activation in the weight-bearing hip with concurrent thigh muscle activation. J Sport Rehabil. 2012;21(2):140-145.
Reiman MP, et al. Supplemental activation exercises for the quadriceps after hip muscle activation: A sample training technique. Int J Sports Phys Ther. 2012;7(5):542-548.