心不全と睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、互いに関連し、悪循環を生み出す可能性のある2つの状態です。
**疫学**
* SAS患者の40%以上に心不全が発生するリスクがあります。
**病態生理**
* **血圧の変動:** SASは睡眠中の反復的な気道閉塞を引き起こし、血圧の上昇と下降を引き起こします。この変動は、心不全の悪化に関連しています。
* **交感神経系の活性化:** SASは交感神経系を活性化し、心拍数、血圧、心筋収縮力の増加を引き起こします。
* **炎症の増悪:** SASは炎症性サイトカインの放出を増大させ、心不全の炎症を悪化させます。
* **睡眠の質の低下:** SASは断続的な睡眠と睡眠の質の低下を引き起こし、心不全の症状を悪化させる可能性があります。
* **心原性の浮腫:** 心不全による水分貯留が上気道を狭窄し、SASを誘発する可能性があります。
* **肺高血圧症:** 心不全による肺高血圧症が、睡眠中の上気道の収縮を誘発する可能性があります。
* **薬剤:** 心不全の治療に使用されるβ遮断薬や利尿剤は、SASを悪化させる可能性があります。
**臨床的影響**
SASが心不全にあると、以下のような結果につながる可能性があります。
* 死亡率の増加
* 入院率の増加
* 生活の質の低下
* 治療への抵抗性
**治療**
**SASの治療**
* 経鼻的持続陽圧換気(CPAP)
* 口腔内装置
* 手術
**心不全の治療**
* 利尿剤
* β遮断薬
* アンジオテンシン受容体拮抗薬
**エビデンスにもとづく論文**
* Bhatia, R. S., & Punjabi, N. M. (2008). Sleep-disordered breathing and heart failure: a bidirectional relationship. *Current opinion in cardiology, 23(5), 356-362.*
* Gami, A. S., & Somers, V. K. (2005). Sleep-disordered breathing and cardiovascular disease: implications for the cardiologist. *American heart journal, 150(6), 1153-1161.*
* Javaheri, S., & Dempsey, J. A. (2008). Cardiovascular consequences of sleep-disordered breathing. *Journal of applied physiology, 105(3), 1193-1203.*
* McEvoy, R. D., Antic, N. A., & He, J. (2014). The relationship between heart failure and sleep-disordered breathing. *Nature and science of sleep, 6, 107-122.*