バランス能力の向上に効果的な側方からの昇降運動

 

側方からの昇降運動は、前方からの昇降運動と比較して、以下の理由からバランス能力の向上により効果的です。

 

動的姿勢制御能力の向上
側方からの昇降では、重心の移動が前額面で生じるため、体幹と下肢の筋群が前額面での姿勢制御に働きます。これにより、動的な状況下での側方のバランス能力が高まります。

 

重心の側方移動
前方昇降は重心の前後移動が中心ですが、側方昇降では重心を側方に大きく移動させる必要があります。この重心移動は、姿勢制御にさらなる課題をもたらし、バランス維持能力の向上に寄与します。

 

単脚支持時間の増加
側方昇降では、一方の脚で支持する単脚支持期間が長くなります。単脚支持時間の増加は、バランス能力とともに、下肢の筋力や proprioception(深部感覚)の向上にもつながります。

 

外転/内転筋群の活用
前方昇降は主に膝関節運動ですが、側方昇降では股関節の外転/内転筋群の活用が重要になります。これらの筋群の発達は側方のバランス能力にとって重要です。

 

実際に、Demuraらの研究(2003)では、側方からの昇降運動が前額面での動的バランス能力を有意に向上させたことが報告されています。

 

したがって、側方からの昇降運動は前額面でのダイナミックなバランス制御能力の向上に極めて有効であり、転倒予防などにも役立つトレーニングと考えられます。