2024-01-01から1年間の記事一覧

「利尿薬」タイプと注意すべき副作用

「利尿薬」は体内の水のコントロールを手助けしてくれますが、クスリなので当然、注意すべき点があります。そして同じ利尿薬でも、「ナトリウム利尿」と「水利尿」では注意すべき点が少し異なってきます。 まずは、ナトリウム利尿で尿の量を増やす利尿薬の注…

認知症の発症リスクのうち、「自分次第で改善できる9つのリスク要因」

2017年に英国の医学雑誌「ランセット」が数々の研究結果を解析し、認知症の発症リスクを高めるさまざまな要因のうち、「自分次第で改善できる9つのリスク要因」を発表している。 そのリスク要因は年代によって分かれていて、小児期の「①低学歴(11~…

ビフィズス菌が記憶力低下を予防する

近年、腸内細菌とアルツハイマー病が密接に関連していることが明らかになりつつある。それに関する研究は国内外問わず複数あるが、注目されているもののひとつが腸の代表的な善玉菌、ビフィズス菌MCC1274株に関する研究だ。 ビフィズス菌にはさまざまな株が…

糖尿病患者で骨折リスクが高くなる要因

Q1 糖尿病患者で骨折リスクが高くなる要因は? Anser. 糖尿病患者では、糖尿病のない人と比べて骨折のリスクが高くなります。 インスリン作用不足や糖化最終産物の蓄積による骨質の低下や、バランス感覚の悪化や視力低下による易転倒性などが要因として考え…

アルツハイマー病リスクに対する身体活動の影響~メタ解析

アルツハイマー病リスクに対する身体活動の影響~メタ解析 すべての原因による死亡率や認知症を減少させるために、身体活動(PA)は有用である。しかし、アルツハイマー病リスクに対するPAの影響については、議論の余地が残っている。中国医科大学付属第一医…

高齢者は、幸せな顔の表情ではなく、悲しい顔の表情に対する視覚的注意力が低下し、知覚が損なわれる

顔の感情表現:老齢者と若年者の知覚領域から運動領域まで Loi, Nicola, et al. "Faces emotional expressions: from perceptive to motor areas in aged and young subjects." Journal of Neurophysiology 126.5 (2021): 1642-1652. [ハイパーリンク] DOI, …

**ピーナッツが血圧を下げるメカニズム**

**ピーナッツが血圧を下げるメカニズム** ピーナッツに含まれる成分が、以下のメカニズムによって血圧を下げる可能性があります。 * **アルギニン:** ピーナッツには、血管を拡張する一酸化窒素の生成を促進するアミノ酸アルギニンが含まれています。 * **レ…

湿度の閾値を下回ると呼吸器疾患が増悪する

**湿度の閾値** 研究によると、湿度の閾値を下回ると呼吸器疾患が増悪する可能性があります。この閾値は疾患の種類や個人の健康状態によって異なりますが、一般的には次の範囲です。 * **30~40%**:喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症 * **40~5…

嚥下過程と胸鎖乳突筋

胸鎖乳突筋は、嚥下時に重要な役割を果たします。 この筋肉は首の側面を斜めに通り、頭部の動きを支援すると同時に、嚥下過程においても機能します。具体的には、胸鎖乳突筋は首を左右に回旋させる働きを持ち、屈曲、側屈といった頚部の動きにも関与します。…

動脈硬化と足の血流

動脈硬化が進行して足の血流が悪くなると、足にしびれや痛みの症状が現れます。これは「閉塞性動脈硬化症(ASO)」と呼ばれ、血流の低下から足の冷感や、歩いているとふくらはぎが張ったりしびれが生じ、休憩を挟むと症状が治まる「間欠性跛行(はこう)」が…

健康食材ピーナツの血圧低下効果

米ハーバード大学の研究チームが30年にわたって12万人の食生活を調べたところ、死亡率を大きく下げる食材のひとつにピーナツがあった。 「ピーナツには飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸がバランスよく含まれていて、悪玉コレステロールを下げ、血管を丈夫にする作用…

リスク要因と治療法、心不全の概要

「心不全とは、心臓が悪いために息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなって生命を縮める病気です」と言うのは、九州大学大学院医学研究院循環器内科学の筒井裕之教授だ。 心不全は、高血圧、糖尿病、動脈硬化といった生活習慣病がリスク要因になる(ステー…

**気温と湿度の呼吸器疾患増悪への影響**

**気温と湿度の呼吸器疾患増悪への影響** 気温と湿度は、呼吸器疾患の増悪に影響を与える可能性があります。 **気温** * **低温:** 低温は気道を収縮させ、気管支の粘液の濃度を高める可能性があります。これにより、気道が狭くなり、喘息や慢性閉塞性肺疾…

ストローの嚥下障害に対する有効性

**ストローの嚥下障害に対する有効性** ストローの使用は、嚥下障害のある個人の飲み物摂取の安全性を向上させることができます。以下はその理由です。 * **飲み物の流入速度の制御:** ストローは、飲み物の流入速度を制限し、誤嚥を減らすことができます。…

早期から中等度の変形性膝関節症を関節内ヒアルロン酸で治療することの費用対効果

要約 紹介: 変形性膝関節症(OA)の初期段階では、患者が疾患進行の後期段階に進行するのを待つよりも、関節内ヒアルロン酸(IA-HA)の方が有益であることが実証されています。 高分子量(HMW)HAは、軽度から中等度の膝関節OAにおいて低分子量(LMW)HA製品よりも…

研究デザインの種類とエビデンスレベル

患者さんに介入(治療的・予防的)、教育・指導、環境調整を行うには、いくつかの選択肢があります。その複数の選択肢の中から、患者さんの状態、評価・介入に関する最新の知見、理学療法士の専門的技能・経験、反応などの情報をもとに、その時点で最も適切…

全人工股関節置換術(THA)後の離床のリスク管理として脱臼予防

Q.全人工股関節置換術(THA)後の離床のリスク管理として脱臼予防が重要ということですが、術式と侵襲を加えた方向以外に注意すべきポイントはありますか? ※THAは股関節の悪い患者さんに多くの恩恵をもたらしますが、長い年月が経過すると緩みが生じ、入替…

紙媒体と電子媒体の読書が認知機能に与える影響:脳機能の視点から

**論文:** * **タイトル:** 紙媒体と電子媒体の読書が認知機能に与える影響:脳機能の視点から * **著者:** Mangen, A., & Velay, J. L. * **ジャーナル:** Frontiers in Psychology, Vol. 5, Article 1132, 2014 **脳機能の働きの相違:** 紙媒体と電子媒体…

側方からの段差昇降運動の高さによる筋活動量の比較

**論文:** * **タイトル:** 側方からの段差昇降運動の高さによる筋活動量の比較 * **著者:** 田中健太郎、吉田直樹 * **ジャーナル:** 理学療法科学, Vol. 21, No. 1, pp. 1-6, 2006 **結果:** 被験者は健康な成人20名で、10cmと20cmの高さの段差昇降運動を…

湿度が気管支喘息の症状を悪化させるメカニズム**

**湿度が気管支喘息の症状を悪化させるメカニズム** 湿度が低いと、気管支喘息の症状を悪化させることが知られています。そのメカニズムは次のとおりです。 **粘液分泌の減少:** 湿度の低い環境では、気道の水分が蒸発して気道が乾燥します。これにより、気…

食後低血圧:高齢者に蔓延する重要な疾患の調査と展望

高齢者における食後低血圧の有病率:系統的レビューとメタアナリシス Huang, Lei, et al. "Prevalence of postprandial hypotension in older adults: a systematic review and meta-analysis." Age and Ageing 53.2 (2024): afae022. https://doi.org/10.10…

歩行速度と免疫機能の関連性

高齢者の身体組成、筋収縮力、免疫細胞に対する異なる速度での歩行トレーニングの効果。単盲検無作為化比較試験 Park, Sihwa, Sang-Kyun Park, and Yong-Seok Jee. "Effects of walking training at different speeds on body composition, muscle contracti…

骨粗鬆症患者の骨粗鬆症管理と転倒予防のための運動ガイドライン

骨粗鬆症患者の骨粗鬆症管理と転倒予防のための運動ガイドライン Bae S, Lee S, Park H, et al. Position Statement: Exercise Guidelines for Osteoporosis Management and Fall Prevention in Osteoporosis Patients. J Bone Metab. 2023;30(2):149-165. h…

なぜ、椎体骨折なのに鼠径部や腹部、臀部が痛くなるのか?

急性骨粗鬆症性胸腰椎骨折における疼痛部位と骨折の種類との関連性 Zhang, Haiping, et al. "Pain Location Is Associated with Fracture Type in Acute Osteoporotic Thoracolumbar Vertebral Fracture: A Prospective Observational Study." Pain Medicine…

椎体骨折の保存療法。国際的コンセンサス

骨粗鬆症性椎体骨折の非薬理学的および非外科的管理に関する国際的コンセンサス Ponzano, Matteo, et al. "International consensus on the non-pharmacological and non-surgical management of osteoporotic vertebral fractures." Osteoporosis Internati…

円背姿勢の支持機構。受動的張力発生のメカニズム

胸腰椎への後方介入が受動的に安定した屈曲姿勢に及ぼす生体力学的影響について Haupt, Samuel, et al. "The biomechanical consequence of posterior interventions at the thoracolumbar spine on the passively stabilized flexed posture." Journal of B…

老化と肥満の関連性:神経細胞の変化

特に食事量が増えたわけでもないのに、中年になると急に太る人は多い。 米国では、50歳の人は若い時より平均で15キロも太っているという国立衛生研究所の統計がある。老化によって基礎代謝が低下するから、というのが定説だ。筋肉量と活動量が減るから食事量…

筋活動比較研究:側方段差昇降運動の効果

側方からの段差昇降運動が、股関節周囲筋の活性化において他の運動と比べてどの程度効果的かを、いくつかの研究結果を基に考察します。 Stelzenmueller et al. (2012)は、以下の6つの運動における股関節周囲筋の筋活動を比較しています。 側方段差昇段(30cm)…

大殿筋の解剖学・運動学と歩行時の役割

大殿筋の解剖学・運動学と歩行時の役割とは? Contents 1.大殿筋は人体で最大級の筋肉 2.神経の走行と栄養血管 3.大殿筋の筋トレ(自重) 4,大殿筋の臨床意義 大殿筋は人体で最大級の筋肉 まずは基本的な知識から確認していきましょう。 起始 浅層線維:腸骨…

交感神経優位と副交感神経優位における心臓の心拍出量の差

交感神経優位と副交感神経優位における心臓の心拍出量の差は、以下の数値で表されます。 **交感神経優位時:** 約 5 ~ 8 L/分 **副交感神経優位時:** 約 3 ~ 5 L/分 差:**約 2 ~ 3 L/分** **もとになる論文** * Berne RM, Levy MN. Principles of Physi…