健康食材ピーナツの血圧低下効果

 

 米ハーバード大学の研究チームが30年にわたって12万人の食生活を調べたところ、死亡率を大きく下げる食材のひとつにピーナツがあった。

 

「ピーナツには飽和脂肪酸不飽和脂肪酸がバランスよく含まれていて、悪玉コレステロールを下げ、血管を丈夫にする作用があるという。そこで私もピーナツで血圧が下がるか試してみました」

 味付きピーナツは塩分量が多い。味が付いていない素焼きのピーナツを、渋皮と一緒に食べるようにした。すると血圧低下。そこで渋皮付きピーナツを毎朝20粒、患者に食べ続けてもらったところ、3~4週間後に血圧が8(㎜/Hg)下がり、それが維持された。

「血圧1㎜/Hgは塩分1グラムに相当するので、8グラムの減塩と同じことになります」

 渡辺医師の知人が渋皮を外してピーナツを食べたときは、血圧がそれほど下がらなかった。

「渋皮は必須です」

 赤ワインに含まれるポリフェノールは、動脈硬化を防ぐといわれている。では、同じ原料のぶどうジュースは?

 

「果汁100%のぶどうジュース、果汁10%のぶどうジュース、果汁100%のオレンジジュース、焼き芋の4種類をそれぞれ朝昼晩、患者さんに取ってもらい、1週間の血圧の変動を見ました」

 焼き芋を入れたのは、ポリフェノールの効果とともに、血管拡張作用のあるカリウムの効果もテストするため。結果、オレンジジュースと焼き芋は血圧降下作用なし。果汁10%のぶどうジュースは、わずかに下がった人はいたものの、統計学的に有意差はなかった。

「100%ぶどうジュースのみ、はっきりと血圧が下がりました。ぶどうに含まれるポリフェノールが血管拡張作用のある一酸化窒素の産生を促していると考えられます」

 

なすで初めて改善効果の機能性表示が認められた「高知なす」

 渡辺医師が今着目しているのがカラハリスイカ。アフリカのカラハリ砂漠で生まれた野生種スイカで、超乾燥地帯の過酷な環境で育つことから、近年その含有成分の人間への機能性が注目。大学や企業で研究が行われている。サプリメントも複数販売されている。

「カラハリスイカにはシトルリンというアミノ酸が含まれていて、これが体内に入るとアルギニンに転換され、一酸化窒素が生成され血圧低下に働く。シトルリンは一般的なスイカにも含まれていますが、カラハリスイカシトルリン量は非常に多く、ほかの成分との相乗効果で強い血圧低下作用を発揮するとみられています」

 渡辺医師は、あるメーカーのカラハリスイカサプリメントを自己責任で規定量の2倍飲んだ。2カ月後、7日間測定すると上の血圧が平均して低下。渡辺医師の話を聞いて自ら始めた10人以上の高血圧患者も、平均10ほど下がったという。

「これらの患者さんは、カラハリスイカを飲み始める前後で塩分摂取量が変わっていない。純粋にカラハリスイカの作用だと考えられる」

 血圧を下げる成分としてコリンエステルがある。なすに特に多く、中でも高知県産の冬春なす(高知なす)に多い。生鮮なすとして初めて、血圧改善効果の機能性表示が認められている。

「『高知なす』は血圧を下げますよ。ただ、毎日食べるのは大変という人もいる。そこで、なすのコリンエステルのサプリメントがあるので、試してみたら、2カ月で3ほど下がりました」