湿度が気管支喘息の症状を悪化させるメカニズム**

 

**湿度が気管支喘息の症状を悪化させるメカニズム**

 

湿度が低いと、気管支喘息の症状を悪化させることが知られています。そのメカニズムは次のとおりです。

 

**粘液分泌の減少:**

湿度の低い環境では、気道の水分が蒸発して気道が乾燥します。これにより、気管支の粘膜が分泌する粘液量が減少します。粘液は気道内の異物や刺激を捕らえて排出するのに役立ちますが、粘液分泌が減少すると、気道が炎症を起こしやすくなります。

 

**気道過敏性の増強:**

乾燥した気道は炎症に対してより過敏になります。刺激に対する気道の反応が増強し、喘鳴や呼吸苦などの症状につながります。

 

**繊毛の障害:**

気道の繊毛は、粘液や異物を排出する役割を担っています。湿度の低い環境では、繊毛が乾燥して損傷を受け、その機能が低下します。これにより、粘液の排出が妨げられ、気道の炎症がさらに悪化します。

 

**炎症性メディエーターの放出:**

乾燥した気道では、炎症性メディエーターがより多く放出されます。これらのメディエーターは気道の収縮や粘液分泌の増加を誘発し、喘息症状を悪化させます。

 

**論文:**

 

* [Low humidity induces airway hyperresponsiveness and inflammation in mice with severe allergic asthma](https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34361072/)

 

 

**湿度がCOPDの症状を悪化させるメカニズム**

COPD慢性閉塞性肺疾患)でも、湿度が低いと症状が悪化することがあります。そのメカニズムは次のとおりです。

**気道分泌物の濃縮:**
湿度の低い環境では、気道内の水分が蒸発して分泌物が濃縮されます。これにより、分泌物が粘稠になり、気道の詰まりや炎症を引き起こしやすくなります。

**粘膜の損傷:**
乾燥した気道は粘膜が損傷を受けやすく、炎症や感染症を起こしやすくなります。損傷した粘膜は異物や刺激に対して過敏になり、喘鳴や呼吸苦などの症状につながります。

**局所的な炎症:**
湿度が低い環境では、気道内で局所的な炎症が発生しやすくなります。炎症は気道の腫れや狭窄を引き起こし、呼吸困難や喘鳴を悪化させます。

**気道過敏性の増強:**
乾燥した気道は炎症に対してより過敏になります。刺激に対する気道の反応が増強し、喘鳴や呼吸苦などの症状につながります。

**論文:**

* [The effect of humidity on airway inflammation and hyperresponsiveness in COPD](https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16807346/)