体幹機能障害
現在、臨床的に注目されているのは、腹横筋と多裂筋である。
自動組織である腰椎骨盤領域を囲む胸腰筋膜との間に形成される深部の筋一筋膜コルセットが機能することにより腰椎骨盤領域の安定性が向上する。
腹横筋が両側性に収縮すると同時に、後方の腰部多裂筋が等尺性に収縮することにより胸腰筋膜を緊張させることが出来る。
深部筋コルセット作用
深部筋コルセットを作用させる機能と腰痛の関連性が指摘されている。
腰痛患者では、「腹壁を引いてください」との指示に対して腹横筋を作用させてコルセット作用を高めることが出来ない。
腰痛患者では、腹横筋の収縮がみられないか、見られても左右非対称性の収縮が起こる。
腹横筋や多裂筋に加えて、腰椎伸筋群も胸腰筋膜を緊張させることが出来る。胸腰筋膜を緊張することにより、脊椎の剛性が増加する。
腰椎伸筋群の収縮や筋膜の緊張は、腹筋群の胸腰筋膜部への停止部の画像から観察することが出来る。
トレーニング
腹横筋と多裂筋が関与する深部筋一筋膜コルセットの作用をトレーニングすることにより、腰痛の消失および再発の予防がなされるというエビデンスがある。
終わりに
- 腹横筋や深部多裂筋が機能せずにコルセット作用が低下すると、腰椎骨盤領域の関節(椎間関節や仙腸関節)の剛性が低下する。
- その結果、本来あるべき正常な関節圧迫からもたらされる感覚入力が低下する。
- また、腰痛患者では、本来あるべき胸腰筋膜の機械受容器が失われ、固有受容器機能の低下を示唆するエビデンスが存在する。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/rika/22/1/22_1_1/_pdf