「食前の酢」で血糖値が10秒で改善する
たった10秒で血糖コントロールを改善する方法がある。
その秘密は? 食事の前に酢を大さじ1杯飲めばいい。 酢が血糖コントロールに与える影響を調べた研究をメタ分析したところ、食事前に大さじ1杯か2杯の酢を飲むだけで、食後の血糖反応全般が11%、インスリン反応が16%低下するとわかった。
さらに、その現象は糖尿病患者でも健康な人でも関係なく起きていた。酢はあらゆる人の血糖コントロールを改善するのだ。
この効果は、おそらく酢を酸っぱく刺激的にしている成分──つまり、その酢酸成分が原因と思われる。
酢酸が消化を遅らせ、デンプンと糖分を分解する消化酵素の働きを抑制することも研究でわかっている。こうした効果のおかげで、食後の血糖値の上昇がゆっくり穏やかなものになるというわけだ。
さらに重要なのは、酢酸がAMPK(アデノシン1リン酸活性化タンパク質キナーゼ)およびGLUT4(グルコース輸送担体4型)を増やすことだ。
この2つは、体内でグルコースの摂取と使用を増やすタンパク質だ。酢を飲むことで、たとえ2型糖尿病患者でも、筋肉のなかにグリコーゲンとしてたくわえられる炭水化物が増加する。
加えて、酢は血管拡張(血管を拡張させ血圧を下げる)を刺激し、骨格筋への血流を増やす。この現象はどちらもインスリンの媒介によるグルコース摂取の重要な構成要素と考えられる。
炭水化物を含む食事を摂るなら、その前に大さじ1、2杯の酢を飲めば、体内に入ってこようとしているグルコースに備えて、インスリン感受性を手軽に増やしておける。
どんな酢でももちろんかまわないが、味がいいのはリンゴ酢か赤ワインビネガーだ。リンゴ酢は、生(未低温殺菌)や未濾過の場合が多いので「『酵母』が生きている」というキャッチフレーズで売られている。酵母は、無毒のどろどろしたイースト菌と酢酸菌の塊で、酢の製造過程での発酵の際にできる。
酵母は、カリウムやマグネシウム、カルシウム、鉄といったミネラルとともに、酢のなかに存在する生物活性化合物と抗酸化活動を生み出す源となっていると考えられる。
酵母を摂ることで健康面でのはっきりとした効果が表れるかは定かではないが、酢を飲んで損はない。