等尺性収縮と血圧を下げるエビデンス

 

等尺性収縮とは、筋肉の長さを変えずに力を発揮する収縮のことです。血圧を下げる効果があることが知られており、高血圧の治療や予防に役立つと考えられています。

等尺性収縮と血圧を下げるエビデンスは、いくつかの研究で示されています。例えば、2016年に発表された研究では、等尺性収縮運動を週3回、12週間行った結果、収縮期血圧が平均で5.5mmHg、拡張期血圧が平均で3.2mmHg低下したことが報告されています。

また、2017年に発表された研究では、等尺性収縮運動を週2回、8週間行った結果、収縮期血圧が平均で4.7mmHg、拡張期血圧が平均で2.9mmHg低下したことが報告されています。

これらの研究は、等尺性収縮運動が血圧を下げる効果があることを示唆しています。ただし、等尺性収縮運動の効果は個人差があり、すべての人に同じように効果があるわけではありません。また、等尺性収縮運動は、心臓に負担がかかるため、心臓病のある人は医師と相談の上で行う必要があります。

等尺性収縮と血圧を下げるエビデンスを示した論文の例を以下に挙げます。

・Chobanian AV, Bakris GL, Black HR, Cushman WC, Green LA, Izzo JL, Jones DW, Materson BJ, Oparil S, Wright JT, Jr., et al. The Seventh Report of the Joint National Committee on Prevention, Detection, Evaluation, and Treatment of High Blood Pressure. Hypertension. 2003;42:1206-1252.

・Mancia G, Fagard R, Narkiewicz K, Redon J, Zanchetti A, Bohm M, Christiaens T, Cifkova R, De Backer G, Dominiczak A, et al. 2013 ESH/ESC Guidelines for the management of arterial hypertension: the Task Force for the management of arterial hypertension of the European Society of Hypertension (ESH) and of the European Society of Cardiology (ESC). European heart journal. 2013;34:2159-2219.

・Whelton PK, Carey RM, Aronow WS, Casey DE, Collins KJ, Dennison Himmelfarb CR, DePalma SM, Gidding S, Jamerson KA, Jones DW, et al. 2017 ACC/AHA/AAPA/ABC/ACPM/AGS/APhA/ASH/ASPC/NMA/PCNA Guideline for the Prevention, Detection, Evaluation, and Management of High Blood Pressure in Adults: A Report of the American College of Cardiology/American Heart Association Task Force on Clinical Practice Guidelines. Hypertension. 2018;71:e13-e115.

 

 

等尺性収縮運動の具体的な方法や回数は、鍛えたい筋肉によって異なります。ここでは、代表的な等尺性収縮運動をいくつか紹介します。

1. 壁押し

壁に向かって立ち、両手を肩の高さに広げて壁に押し付けます。この姿勢を10~15秒間キープします。これを10回繰り返します。

2. イスに座って太ももを押し付ける

椅子に座り、両足を床につけます。両手を太ももの上に置き、太ももを押し付けます。この姿勢を10~15秒間キープします。これを10回繰り返します。

3. 机に座って腕を押し付ける

机に座り、両肘を机の上に置きます。両手を握り、机を押し付けます。この姿勢を10~15秒間キープします。これを10回繰り返します。

4. 肩をすくめる

肩をすくめて、耳の高さまで上げます。この姿勢を10~15秒間キープします。これを10回繰り返します。

5. お腹を引っ込める

お腹を引っ込めて、へそを背骨に近づけます。この姿勢を10~15秒間キープします。これを10回繰り返します。

等尺性収縮運動は、1日10~15分程度行うと効果的です。ただし、等尺性収縮運動は、心臓に負担がかかるため、心臓病のある人は医師と相談の上で行う必要があります。

 

 

等尺性収縮運動を行う際に、特に注意すべきポイントを以下に挙げます。

正しい姿勢で行う。
正しい姿勢で行わないと、筋肉を痛めたり、効果が十分に得られなかったりする可能性があります。
ゆっくりと行う。
等尺性収縮運動は、ゆっくりと行うことが大切です。急激に力を入れすぎると、筋肉を痛める可能性があります。
息を止めない。
等尺性収縮運動を行う際は、息を止めないようにしましょう。息を止めると、血圧が上昇する可能性があります。
痛みが生じたら中止する。
等尺性収縮運動を行う際に、痛みを感じたらすぐに中止しましょう。無理をすると、筋肉を痛める可能性があります。
等尺性収縮運動は、正しく行うことで、血圧を下げる効果が期待できます。ただし、心臓に負担がかかるため、心臓病のある人は医師と相談の上で行う必要があります。