エキセントリックトレーニングと低強度の負荷

 

 

要約

エキセントリックトレーニングは、低強度の負荷でも筋力や筋肉量が増す

 

 

 

これまでの筋力トレーニングの常識

一般的にトレーニングで筋力を増加させたり筋肥大を起こすには、最大筋力、または1RMの 60%以上の負荷が必要と考えられています

 

こ れは8~12程度繰り返すことができる最大の負荷 1RMの10%負荷で得られた効果です。12回以上、軽々と続けられる負荷では筋力 の増加や筋肥大にはつながらないというのが、これまでの常識でし た。

 

 

 

最近のエキセントリックトレーニングの研究

 

しかし最近の研究で、エキセントリックトレーニングを用いれば1RMの10 %程度の軽い負荷でも最大筋力が増加し、 筋肥大が生じることが分かってきた

 

 

 

 

最近の論文より

 

右下のグラフは最近の学術誌の論文からの抜粋です。ダンベルをゆっくり下ろすだけのエキセン トリックトレーニング群、ダンベルを持ち上げる だけのコンセントリック群の2つのグループとも 6回×5セット、週1回のトレーニングを5週間 行いました。

 

 

両群とも同じ負荷で、1週目は肘の 角度90度で測定した等尺性(関節運動を伴わな い) 最大筋力の100%のダンベルを用い、2週目 は30%、3週目は50%、4週目は80%、5週目は 100%と負荷を増やしていきました。

 

 

その結果、コンセントリック群では最大筋力が 10%増加したのに対し、エキセントリック群では 約2倍の19%の増加が見られました。 上腕部の周径囲もコンセントリック群はほとんど増加しなかったのに対して、エキセントリック群は3%増。 これは、同じ負荷を用いた筋力トレーニングでは、エキセントリックがコンセントリックよりも筋力増加、筋肥大に有効であることを示しています。

 

 

 

 

もうひとつの論文の実験も同様。やはり、肘の 角度90度で測定した等尺性最大筋力の10%に相 当するダンベルを用い、エキセントリックトレー ニングを6回×5セット、週に2回行った実験です。ひとつの群は4週間、もうひとつの群は8週 間にわたってトレーニングを行いました。ダンベ ルの重さは2~4kgと軽いものでした。

 


その結果、等速性(マシンを使った筋収縮) 最大筋力と等尺性最大筋力が大きく増加し、上腕部の周囲も増えたのです。増加率は8週間のトレーニングを行った群でより大きくなりました。 この研究もまた、エキセントリックトレーニングが 低強度でも効果があることを示しています