インターバル速歩とは
インターバル速歩とは「さっさか歩き」と「ゆっくり歩き」を数分間ずつ交互に繰り返すウォーキング法1)です。
インターバル速歩は、信州大学大学院特任教授であり、NPO法人熟年体育大学リサーチセンター副理事(2020年10月時点)の能勢博先生によって科学的根拠に基づき提唱されており、各個人の筋力や体力に合った適度な強さで運動すること2)ができます。
インターバル速歩の健康効果について
インターバル速歩では次の効果が得られます。
- 体力の向上(筋力の向上・持久力の向上):筋力が10%、持久力が最大20%向上3)
- 生活習慣病の改善:低体力の群で高血圧、高血糖、肥満などの生活習慣病指標※1の点数の値が20%改善4)
- 気分障害の改善:うつ指標※2の値が50%改善5)
- 睡眠の質の改善:睡眠効率(睡眠時間/寝床に入っている時間)が改善6)
- 認知機能の改善:浦上式認知機能テストをPC用にアレンジしたプログラムによる認知機能測定の値が4%向上6)。とくに軽度認知障害(MCI)の人たちでは認知機能測定の値が34%改善
- 関節痛の改善:膝関節痛の症状が、50%の人が良くなったと回答5)
- 骨粗しょう症の改善:骨密度が第2-4腰椎で0.9%、大腿骨頭部で1.0%増加6)
- 熱中症の予防:インターバル速歩後に糖質・乳タンパクを摂取すると、体温上昇に対する皮膚血管の拡張度、発汗速度が3倍亢進1)
※1 生活習慣病指標:
1.最高血圧≧130mmHgまたは最低血圧≧85mmHg、2.空腹時血糖≧100mg/dl、3.BMI≧25kg/m2、4.中性脂肪≧150mg/dlまたはHDLコレステロール≦40mg/dlの4項目について、該当する場合に1点加算し、したがって4項目すべて該当する場合は4点満点とした診断基準。
※2 うつ指標:
インターバル速度を行うことによる精神的・心理的評価についてはCES-D(うつ病自己評価尺度:The Center for Epidemiologic Studies Depression Scale)を用いた。CES-Dは全20項目(16のネガティブ項目(symptom-present):うつ気分・身体症状・対人関係、4ポジティブ(symptom-absent)項目:ポジティブ気分)で構成されている。
フレイル・サルコペニアへのインターバル速歩の効果
加齢による筋肉量の減少、筋力低下がみられるサルコペニアは活動力の低下、体力の低下を引き起こし、フレイルの要因となります。
股関節人工骨頭全置換術後の患者がインターバル速歩を12週間継続すると、下肢筋力、最高酸素摂取量、換気閾値が大幅に向上した7)という研究報告があり、身体機能が低下し、筋肉が萎縮している術後の状態でも、インターバル速歩トレーニングを続ければ、筋力、体力の改善がみられます。
この結果から、在宅でも取り組むことのできるインターバル速歩は、サルコペニアやフレイルの予防・改善を図るトレーニングとして期待されます。
インターバル速歩のやり方
インターバル速歩は以下の方法で実施します。
速歩のスピードは「ややきつい」と感じる程度で行います。
3分間の「速歩(さっさか歩き)と3分間のゆっくり歩きを1セットとし、1日5セット以上、週4日以上を目標にします。
1日の早歩きの合計が15分になればよいので、朝・昼・夜とこまめに分けて実施しても大丈夫です。
1週間で早歩きを60分以上、5か月間続けることを目標とするため、平日に時間がとれない場合は土曜日に早歩き30分、日曜日に早歩き30分を行ってもよい6)とされます。