非特異的腰痛の評価方法

 

伸展で痛い場合

伸展で痛い場合は、

・腰椎椎間関節性疼痛

・脊柱管狭窄症

・筋の収縮時痛

等が考えられます。何故これらの病態が考えられるかを説明します。下の図を見てください。

左の図は腰椎伸展位での椎間関節、右は腰椎屈曲位での椎間関節を表しています。ご覧の通り腰椎伸展位の方が椎間関節の間隔が狭くなり、負担が増加します。また、脊柱管や椎間孔も腰椎伸展位によって狭まるため脊柱管狭窄症の症状も腰椎伸展によって増悪すると言われています。

よって、腰椎伸展によって症状が出現する際は、腰椎椎間関節や脊柱管狭窄症などが考えられます。

 

 

よって伸展で痛い場合は、

・腰椎屈曲可動域を向上させる

・腰椎屈曲筋である腹横筋や腹斜筋を鍛える

・骨盤後傾を促すために股関節伸展可動域を向上させる

・腰椎が伸展しないように体幹伸展運動を練習する

などが考えられます。

 

 

②片側が痛いか?全体が痛いか?

もうひとつ確認していただきたいのが、「片側が痛いか?両側が痛いか?」です。これを確認することで、更に病態を絞ることが出来ます。具体的にいうと、

腰椎椎間板性や圧迫骨折の痛み=両側が痛い

椎間関節性の痛み=片側が痛い

と考えられるので、

両側が痛い⇒椎間関節性は考えにくい

片側が痛い⇒椎間板や圧迫骨折性は考えにくい

となります。

なぜこう考えることが出来るかというと支配神経に特徴があるからです。下の図を見てください。

図の左側にある椎間板や椎体は、脊髄洞神経によって支配されています。1つの椎間板を左右の神経が支配しているので、椎間板の痛みは左右の脊髄洞神経が感知します。よって、椎間板や椎体の痛みは「片方が痛い」とはならず、「真ん中」や「全体」となると考えられます。対して図の右側にある椎間関節は、脊髄神経後枝内側枝が左右別々に支配しています。よって、左椎間関節の痛みは左脊髄神経後枝内側枝が感知する為、「左側が痛い」という訴えになります。

 

ちなみに脊柱起立筋は、脊髄神経後枝外側枝が左右別々に支配しています。しかし臨床経験上、片方だけ痛いという場合と両方痛いという場合の2つのパターンがあるので、この方法では判別は難しいかなと思います。