パーキンソン病 (PD) におけるすくみ足 (Freezing of gait: FOG) への対処法

 

すくみ足への対処法の詳細

パーキンソン病 (PD) におけるすくみ足 (Freezing of gait: FOG) への対処法として、認知的制御左右差への配慮が重要であると、岡田洋平氏の論文で述べられています。

 

 

認知的制御の重要性

FOGは、歩行中の歩幅の減少や歩行速度の上昇、認知・情動に関わる情報処理の要求、状況判断時の情報処理能力の低下、意識的な歩行開始と無意識的な運動準備の乖離などが複雑に絡み合って発生すると考えられています。

 

FOG発生直前の脳波では前頭葉のθ帯域の活動上昇が見られ、これはFOG発生前に認知的負荷が増加していることを示唆しています。 つまり、認知的負荷が過剰になり、効率的な認知的運動制御ができなくなった結果、FOGが発生すると考えられます。

 

このことから、FOGへの対処には、患者さん一人ひとりの状態に合わせた適切な認知的制御の方法を検討することが重要になります。

 

 

左右差への配慮

FOGを呈するPD患者では、歩行開始時にどちらの足から踏み出すかが一定しないという特徴があります

 

また、パーキンソン病の症状が強く出ている側と利き手が一致することが多く、利き足で歩行を開始することが多い一方で、利き足側にパーキンソン病の症状が強く出ている場合は、歩行開始がスムーズにいかない可能性があります。

 

方向転換動作においても、どちらの向きに回転するかは、パーキンソン病の症状が強く出ている側と利き手の関係に影響されると考えられています。

 

患者さんによっては、歩行開始動作や方向転換動作を行う際に、どちらの足から踏み出すか、どちらの方向に回転するかを意識することで、動作が改善するケースもあるため、症状の左右差や利き手を考慮した動作指導も重要となります。

 

 

長期的な視点

FOGはパーキンソン病発症から17年以内に約80%の患者さんにみられると報告されています。 パーキンソン病は病気の進行とともに、認知機能障害(遂行機能障害や注意障害など)が顕著になる場合が多くみられます。

 

そのため、個々の患者の病気の経過の中で、認知機能障害が顕著になる前に、FOGに対する認知的な運動制御の指導を行う必要があると考えられています。