筋膜リリースにおける振動刺激の有無による効果の違い

 

筋膜リリースにおける振動刺激の有無による効果の違いについて、以下のようにまとめることができます:

 

1. 即時的な効果:

振動刺激を加えた筋膜リリースは、従来の静的な筋膜リリースと比較して、より即時的な効果が得られる傾向があります。特に柔軟性の向上や筋肉の緊張緩和において顕著です。

 

2. 痛みの軽減:

振動刺激を併用することで、痛みの閾値が上昇し、筋膜リリース中の不快感が軽減される可能性があります。これにより、より深部の筋膜にアプローチできる場合があります。

 

3. 血流の改善:

振動刺激は局所的な血流を促進する効果があり、これにより筋膜の代謝や老廃物の除去が促進される可能性があります。

 

4. 神経系への影響:

振動刺激は固有受容器を刺激し、神経筋機能の改善に寄与する可能性があります。これにより、筋力や運動制御の向上につながる可能性があります。

 

5. 持続時間:

一部の研究では、振動刺激を加えた筋膜リリースの効果がより長く持続する傾向が報告されています。

 

これらの効果に関連する研究論文としては、以下のものが挙げられます:

 

1. Cheatham, S. W., & Stull, K. R. (2018). "Comparison of a vibration roller and a nonvibration roller intervention on knee range of motion and pressure pain threshold: A randomized controlled trial." Journal of Sport Rehabilitation, 27(6), 530-537.

 

2. Lee, C. L., et al. (2018). "The effectiveness of vibration rolling on acute muscle soreness and flexibility following eccentric exercise." Journal of Sports Science and Medicine, 17(1), 32-39.

 

3. Romero-Moraleda, B., et al. (2019). "The effects of vibration vs. non-vibration foam rolling techniques on flexibility, muscle soreness, and vascular function." Journal of Strength and Conditioning Research, 33(10), 2724-2732.

 

これらの研究は、振動刺激を加えた筋膜リリースの効果を示唆していますが、研究デザインや対象者、測定方法などが異なるため、結果の解釈には注意が必要です。また、個人差や適用部位、振動の周波数などによっても効果が異なる可能性があります。

 

この分野の研究はまだ進行中であり、より詳細な効果の違いや最適な適用方法については、さらなる調査が必要です。特に興味のある側面があれば、より詳しく説明できます。

健康における歩数の重要性

歩くことはどれくらい健康に意義があるのでしょうか。

 

ボストンのHamayaさんは健康におけるこの歩数の重要性を調べました。

 

対象となったのは60歳以上の女性です。

14399人の女性が対象になり、過去の無作為化比較試験でのデータを再解析して、

約9年間の死亡率や心血管疾患の発症などを調査したようです。

 

もちろん交絡因子についても統計処理されてます。

 

中等度から強度の運動は中央値で1週間に62分実施されており、

1日に5183歩、歩行していたようです。

 

まずは中等度から強度の運動時間と歩数の両方が死亡率低下、

つまり長生きと関係していたようです。

 

また心血管疾患の発症予測に関しても、この2つは同じように重要であったようです。

 

つまり、ある程度の強度の運動も歩くことも両方とも健康に重要ということですね。

 

ちなみにアメリカのガイドラインでは、中等度から強度の運動を、

1週間に150分は行うように推奨されているようです。

筋膜の痛みに対する徒手リリースにて、垂直方向への振動刺激の有無の効果の違い

筋膜の痛みに対する徒手リリースにて、垂直方向への振動刺激の有無の効果の違いを教えて

 

筋膜の痛みに対する徒手リリースにおいて、垂直方向への振動刺激を加えることで以下の効果が期待できます。

 

## 振動刺激を加える効果

 

- 振動刺激により筋膜の粘着が解れやすくなり、リリース効果が高まります。[1] 振動は筋膜の滑りを改善する働きがあります。

 

- 振動刺激は筋肉の緊張をほぐし、血行やリンパ液の流れを促進させます。[4] 老廃物の排出と新鮮な栄養分の供給が期待できます。

 

- 振動は痛みに対する閾値を上げる効果があり、痛みの軽減にもつながります。[4]

 

- 振動刺激により筋膜の固有受容器が刺激され、筋肉のリラックス効果が得られやすくなります。[2]

 

## 振動刺激を加えない場合

 

- 徒手的な圧迫やストロークのみでは、筋膜の粘着を完全に解きほぐすことが難しい場合があります。[1]

 

- 振動刺激がないと、血行やリンパ液の流れの促進効果が低くなる可能性があります。[4]

 

- 痛みの閾値を上げる効果が得られにくいため、施術中の痛みが強く感じられる恐れがあります。[4]

 

つまり、垂直方向への振動刺激を加えることで、筋膜のリリース効果が高まり、痛みの軽減や血行促進など様々な効果が期待できます。[1][2][4] 徒手リリースにおいて振動刺激は重要な役割を果たすと考えられます。

 

引用:

[1] 筋膜リリースで腰痛緩和 - ヒロ国立整骨院 https://hirokunitachi.com/menu/fascia-release/

[2] ハムストリングスに焦点を当てたストレッチと 筋膜リリースの効果 ... https://www.jstage.jst.go.jp/article/rika/35/5/35_647/_pdf

[3] 一般の方へ | 一般社団法人 日本整形内科学研究会 https://www.jnos.or.jp/for_public

[4] 筋膜リリースの効果と方法 | 健康長寿ネット https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/shintai-training/kimmakuririsu.html

[5] 筋肉痛になったら早く治したい!痛みに効くマッサージ https://shop.rxl.jp/blogs/column/muscle-pain-training

 

パーキンソン病 (PD) におけるすくみ足 (Freezing of gait: FOG) への対処法

 

すくみ足への対処法の詳細

パーキンソン病 (PD) におけるすくみ足 (Freezing of gait: FOG) への対処法として、認知的制御左右差への配慮が重要であると、岡田洋平氏の論文で述べられています。

 

 

認知的制御の重要性

FOGは、歩行中の歩幅の減少や歩行速度の上昇、認知・情動に関わる情報処理の要求、状況判断時の情報処理能力の低下、意識的な歩行開始と無意識的な運動準備の乖離などが複雑に絡み合って発生すると考えられています。

 

FOG発生直前の脳波では前頭葉のθ帯域の活動上昇が見られ、これはFOG発生前に認知的負荷が増加していることを示唆しています。 つまり、認知的負荷が過剰になり、効率的な認知的運動制御ができなくなった結果、FOGが発生すると考えられます。

 

このことから、FOGへの対処には、患者さん一人ひとりの状態に合わせた適切な認知的制御の方法を検討することが重要になります。

 

 

左右差への配慮

FOGを呈するPD患者では、歩行開始時にどちらの足から踏み出すかが一定しないという特徴があります

 

また、パーキンソン病の症状が強く出ている側と利き手が一致することが多く、利き足で歩行を開始することが多い一方で、利き足側にパーキンソン病の症状が強く出ている場合は、歩行開始がスムーズにいかない可能性があります。

 

方向転換動作においても、どちらの向きに回転するかは、パーキンソン病の症状が強く出ている側と利き手の関係に影響されると考えられています。

 

患者さんによっては、歩行開始動作や方向転換動作を行う際に、どちらの足から踏み出すか、どちらの方向に回転するかを意識することで、動作が改善するケースもあるため、症状の左右差や利き手を考慮した動作指導も重要となります。

 

 

長期的な視点

FOGはパーキンソン病発症から17年以内に約80%の患者さんにみられると報告されています。 パーキンソン病は病気の進行とともに、認知機能障害(遂行機能障害や注意障害など)が顕著になる場合が多くみられます。

 

そのため、個々の患者の病気の経過の中で、認知機能障害が顕著になる前に、FOGに対する認知的な運動制御の指導を行う必要があると考えられています。

パーキンソン病の歩行・姿勢制御異常に対する理学療法

 

パーキンソン病の歩行・姿勢制御異常に対する理学療法

パーキンソン病の歩行・姿勢制御異常は、生活の質(QOL)低下につながるため、理学療法の重要な介入対象となる。本稿では、パーキンソン病の歩行障害に対する推奨される理学療法介入と、姿勢異常に対応する新しい理学療法介入の試みについて紹介する。

 

1. 歩行障害に対する理学療法

パーキンソン病の歩行障害は、運動プログラム生成異常、運動の大きさの減少、遂行機能障害、自動的な歩行リズムの生成異常、情動の影響など、多様な要因が複雑に絡み合って発症すると考えられている。

 

歩行障害に対する理学療法介入戦略として、以下の4つが挙げられる。

  • External cue
  • 注意のストラテジー
  • Feedforward
  • Feedback誤差学習
 
1.1. External cue

パーキンソン病患者は、外部からの感覚刺激により歩行動作が改善する。External cueに用いられる感覚刺激として、視覚刺激、聴覚刺激、体性感覚刺激がある。

視覚刺激を例に挙げると、視覚刺激が入力されると、視覚座標に対する運動プログラムが運動前野で生成され、パーキンソン病において障害される大脳基底核や補足運動野を介さず運動が発現されるため、歩行が改善すると考えられている。

External cue(視覚刺激と聴覚刺激)の適用は、患者がすくみ足を有するか否かによって決定する必要がある。すくみ足を呈する患者は視覚刺激により歩幅、歩行速度が改善するが、すくみ足を呈さない患者は聴覚刺激により若干の改善が得られる。すくみ足を呈する患者に聴覚刺激を与えて歩行練習すると、すくみ足の発生確率が上昇し、歩行の安全性を低下させてしまうため注意が必要である。

External cueを利用して一定期間歩行練習を行うと、External cueが無い状態における歩行速度、歩幅の改善、すくみ足の重症度に改善がみられるが、介入を継続しないと数週間で効果は消失する。パーキンソン病の歩行障害には、External cueを利用した継続的な歩行練習が推奨される。

 
1.2. 注意のストラテジー

注意のストラテジーとは、随意運動を行う際注意を向ける点を指導することにより、パーキンソン病患者の内発性随意運動を改善させる方略である。パーキンソン病患者は、自身の記憶を元に行われる内発性随意運動を行う際、前頭葉から補足運動野や運動前野など高次運動野へ運動の企図を伝えるネットワークが機能低下を起こしていると考えられている。そのため、動作時に注意を向ける点を指導し、前頭葉から高次運動野への運動の企図の伝達を強化することにより、内発性随意運動を改善させると考えられる。指導時には動作の大きさに焦点を絞って注意を向けさせて、集中的に実施することにより効果が得られる。歩行練習の際には、患者が安全性を損なわない範囲で「大きな歩幅」に注意を向けさせるとよい。

Okadaらの先行研究によると、すくみ足を呈するパーキンソン病患者の歩行開始時の振り出し開始側の不一致確率は、すくみ足を呈さないパーキンソン病患者と比較して顕著に高い。すくみ足を呈するパーキンソン病患者の歩行開始動作の練習の際には、数mの距離で歩行開始、停止してもらい、振り出し開始側を確認し不一致確率が高い場合には、歩行開始前にどちらの足から振り出すか意識的に決定するよう指導するとよい。

 
1.3. Feedforward, Feedback誤差学習

パーキンソン病患者は、実際の運動が自身の意図した運動より小さいことが多い。Feedfoward, Feedback誤差学習は、指導の際、患者に自己の体性感覚に注意を向けさせ、意図した運動と実際に生じた運動の誤差を校正させる方略である。

パーキンソン病患者は、内発性随意運動の際、基底核と大脳皮質運動関連領域、頭頂葉前頭葉、小脳とのconnectivity(機能的結合)が低下しているが、小脳と大脳皮質運動関連領域、頭頂葉とのconnectivityは上昇している。この結果は、パーキンソン病患者において小脳による制御、学習は残存しており、代償的に機能していることを示唆している。運動を発現する際、一次運動野から小脳に遠心性コピー(Feedforward)が伝達され、運動の結果生じた末梢からの感覚フィードバック情報(Feedback)が小脳に伝えられ、自己の意図した運動と運動の結果の誤差信号を大脳皮質の運動関連領域に送り、運動が修正される。歩行練習におけるFeedfoward, Feedback誤差学習は、小脳による上記の運動制御、学習の過程を利用していると考えられる。Feedfoward, Feedback誤差学習は、注意のストラテジーに合わせて利用されることが多い。

 

 

2. 姿勢異常に対する直流前庭電気刺激の試み

パーキンソン病はしばしば体幹前屈、側屈、頸部可屈曲等の姿勢異常を呈する。パーキンソン病の姿勢異常は、歩行や食事動作などの日常生活動作や転倒に影響を与えるため、重要な問題である。パーキンソン病の姿勢異常は、体幹筋のジストニアや固縮、ミオパチー、軟部組織変化、体性感覚の統合異常など多くの要因が関連する。姿勢異常に対して投薬調整や外科治療、理学療法、装具療法などが行われているが、有効性を支持するエビデンスは確立されていない。

 

近年、体幹側屈の姿勢異常を呈する患者と姿勢異常のない患者を対象に、臨床的な方法で前庭機能評価を行った結果、体幹側屈の姿勢異常を呈する患者は傾斜側の前庭機能障害を有することが報告されたパーキンソン病患者を対象に前庭誘発筋電位を調査した結果、前庭誘発筋電位が一側消失しているものが37%、両側消失しているものが7.4%存在することが報告されているが、その結果と姿勢異常との関連については検討されていない。そこで我々は、前屈姿勢異常を呈するパーキンソン病患者においても前庭機能障害が存在すると仮説を立てた。

 

直流前庭電気刺激(galvanic vestibular stimulation: GVS)は前庭系を刺激し、前後、側方への姿勢傾斜反応を引き起こすことが可能であり、主に耳鼻科検査や神経生理学の研究手法として利用されてきた。近年、GVSは脳卒中の空間認識障害などに対する介入手段として利用され始めている。GVS実施時、電極を隆椎両外側と両乳様突起に貼付し、乳様突起を陰極にすると前方姿勢傾斜を、乳様突起を陽極にすると後方姿勢傾斜を誘発可能である。

 

前屈姿勢異常を呈するパーキンソン病患者一例に対して隆椎両外側と両乳様突起間のGVSを乳様突起陽極、陰極の2条件で実施した結果、両条件ともsham刺激と比較して体幹前屈角度が著明に改善した。前屈姿勢異常には後方姿勢傾斜を誘発する乳様突起陽極のGVSが有効であると仮説形成していたが、本症例は乳様突起陰極、陽極の両条件とも体幹前屈角度に顕著な改善を認めた。このことから、前屈姿勢異常と前庭機能の関連は明らかではない。

 

パーキンソン病の前屈姿勢異常には、腹筋群のジストニアが関与すると考えられている。先行研究において、頸部ジストニアに対して前庭刺激を行うと、刺激側の頸部屈筋である胸鎖乳突筋の過剰活動が軽減したと報告されている。隆椎両外側と両乳様突起間のGVSは両側球形嚢を刺激し、腹筋群の持続的な異常活動を軽減し前屈姿勢異常が改善した可能性がある。今後は症例数を蓄積し、パーキンソン病の前屈姿勢異常に対するGVSの有効性、効果の機序を検証する必要がある。GVSは、パーキンソン病の前屈姿勢異常に対する新しい理学療法介入となる可能性がある。

年齢と疲労回復の関係

 

「歳をとると疲れがとれにくくなる」はウソ?年齢と疲労回復の関係

 


 年齢を重ねると若い頃より疲れやすくなり、疲労回復までの時間も長くなる。一晩寝ても疲れが

とれない。そのような話はよく聞きますし、実際にそんな風に感じている人も多いでしょう。

 


 筋トレやフィットネスの世界では、加齢とともに疲労からの回復力が弱まるので、40代や50代

以降の中高年は、トレーニング間の休息を若い世代より長くとるべきだとするアドバイスが常識

のようになっています。

 


 ところが、その常識は科学的には根拠が乏しいとした研究(1)が、アメリカの医学雑誌に発表

されました。それによると、筋トレで疲労した筋肉の回復力とそのスピードは、加齢による影響

をほとんど受けず、その差が生じる原因はむしろ個人のトレーニング歴によるというものです。

 もし若い頃より疲れがとれないと感じているのなら、それは加齢ではなく単なる運動不足のせ

いかもしれないということです。

 

 

 

どんな研究内容だったのか


 セントラルフロリダ大学のジェイ・ホフマン教授らが中心になって行われたこの研究では、平

均年齢22歳の若者グループ(9人)と、平均年齢47歳の中年グループ(10人)について比較。被

験者はすべて男性で、「趣味程度の筋トレ経験」がある人たちが選ばれました。

 


 趣味程度の筋トレ経験とは、具体的に言うと「過去6か月間以上に渡って、少なくとも週に

150分以上の筋トレを行っていた人たち」ということです。

 


 実験では、被験者たち全員がマシンを用いて膝を屈伸させるエクササイズ(レッグ・エクス

テンションのことだと思われます)を10回8セット、セット間に1分間の休息を挟んで実施。

被験者たちの筋力は、実験の前後と48時間後に計測されました。

 


 同じタイミングで血液検査も行われ、筋肉のダメージと炎症の変化が記録されたとのこと。

炎症がいかに回復するかは、筋トレで破壊された筋肉繊維が再生するプロセスの進行状況を見

る物差しになるということです。


研究結果「回復力に明確な差異は発生しなかった」

 


 実験の結果は非常にシンプルで、かつ驚くべきものでした。若者グループと中年グループの

間で、回復力に明確な差異は発生しなかったのです。絶対的な筋力そのものは当然ながら若者

グループの方が勝っていたものの、その筋力を元に回復する相対的なスピードは、両グループ

とも同じでした。

 筋肉のストレスと炎症が治まっていく過程も、両グループが同じ軌道で推移し、主観的な筋肉

痛や張りの度合いについても同様です。年齢にかかわらず、普段からハードに筋トレを行ってい

る人ほど回復力が高いという結果も見られました。

 


「年齢はただの数字に過ぎない」は正しいのかもしれない


 前述したように、この研究は非常に限定されたサンプルを対象にしています。19人ではなく

1万人以上で比較する、男性だけではなく女性を含める、40代ではなく60代以上を対象にする。

あるいは筋トレではなく有酸素運動で試す、趣味程度ではなくハードな筋トレをした場合など、

理論的にはいくらでも比較対象を広げることはできるでしょう。

 


 そうした際、回復力と年齢との間には相関関係は出てくるのか。その疑問に答える回答は今

のところ見当たりません。これは、今後の研究課題になるでしょう。

 


 しかし、とりあえず「もう年だから」という常套句を、トレーニングを長い間休む理由、あ

るいは言い訳に使うべきではないということだけは、自分に言い聞かせてもよいのではないで

しょうか。

 


 疲れがとれない(と思い込む)から休息を長く持ち、次にトレーニングするときには筋力が

落ちている。そんなパターンが繰り返されると、筋トレ効果は上がっていきません。成長は足

踏みするか、後退します。

 


 もちろん、十分な筋トレ効果を得るためには適切な休息は不可欠ですし、休息が足りないと

オーバートレーニング症候群に陥る危険もあります。しかしながら、長過ぎる休息は運動不足

にもなりかねません。

 


回復力が弱まったから運動不足になるのか、運動不足だから回復力が弱まるのか。まるで卵と

ニワトリのどちらが先かを問いているようですが、少なくともその2つが原因で、悪循環の無限

ループを繰り返す事態だけは避けたいところです。

 


 それを防ぐためには、年齢をフィルターとするのではなく、自分自身の身体と慎重に対話する

ことが重要ではないでしょうか。

 


参考文献: 1.Comparisons in the Recovery Response From Resistance Exercise Between Young

and Middle-Aged Men

 

有酸素運動がアミロイドβの排出に有効とされるメカニズム

有酸素運動アミロイドβの排出に有効とされるメカニズムはいくつかあります。

 

以下にその主なメカニズムを説明します。

 

1. 脳血流の増加: 有酸素運動は脳血流を増加させることが知られています。増加した血流は、脳内の老廃物や不要な物質を除去する能力を高めます。これにより、アミロイドβの排出が促進されると考えられています。

 

2. グリンパティックシステムの活性化: グリンパティックシステムは、脳脊髄液を介して脳内の老廃物を排出するシステムです。有酸素運動はこのシステムを活性化し、アミロイドβの排出を促進することが示唆されています。

 

3. 抗炎症作用と酸化ストレスの軽減: 有酸素運動は抗炎症作用を持ち、酸化ストレスを軽減する効果があります。これにより、アミロイドβの蓄積を抑制し、排出を助けるとされています。

 

4. ニューロンの健康維持: 有酸素運動ニューロンの健康を保ち、神経細胞の機能を改善します。これにより、アミロイドβの生成を抑え、その排出を促進することが期待されます。

 

参考文献 1. Liang, F., & Qi, Z. (2014). Exercise and Alzheimer's disease: the role of the glymphatic system. Frontiers in Aging Neuroscience, 6, 274. Link 2. Leal, G., Bramham, C. R., & Duarte, C. B. (2017). BDNF and Hippocampal Synaptic Plasticity. Vitamins and Hormones, 104, 153-195. Link これらの論文を参考にすると、有酸素運動がどのようにしてアミロイドβの排出を助けるかについて詳しく理解することができます。 これらの情報を参考にしました。

[1] 認知症の概要と支援 (https://www.jstage.jst.go.jp/article/jptpr/31/0/31_21/_pdf/-char/ja) [2] 19K19970 研究成果報告書 - KAKEN (https://kaken.nii.ac.jp/file/KAKENHI-PROJECT-19K19970/19K19970seika.pdf) [3] 日々の生活の中で実践できる認知症の予防について (https://mylibrary.toho-u.ac.jp/webopac/bdyview.do?bodyid=TD15960818&elmid=Body&fname=td15960818_cover.pdf) [4] 第4章 認知症の予防 4.運動の視点から (https://www.tyojyu.or.jp/kankoubutsu/gyoseki/ninchisho-yobo-care/h30-4-4.html

異なる有酸素運動強度での運動誘発性低痛覚の効果

健康な若年成人における異なる有酸素運動強度での運動誘発性低痛覚の効果

📕Niwa Y, Shimo K, Ohga S, Tokiwa Y, Hattori T, Matsubara T. Effects of Exercise-Induced Hypoalgesia at Different Aerobic Exercise Intensities in Healthy Young Adults. J Pain Res. 2022;15:3615-3624 https://doi.org/10.2147/JPR.S384306
🔗 DOI 🌲MORE⤴ >>> Connected Papers
※ Connected Papersとは? >>> note.

[背景・目的] 運動誘発性痛覚低下(Exercise-induced hypoalgesia, EIH)とは、1回の運動後に生じる痛み感受性の低下のことである。しかし、同一人物で低強度も含めた異なる強度の運動を行った場合のEIH効果を比較した研究はほとんどない。どの運動強度がより効果的にEIHを発揮するかは不明である。本研究の目的は、同一人物における異なる運動強度の疼痛感受性への影響を検討し、比較することである。

[方法] 健康な若年成人ボランティア73名(女性35名、男性38名)を対象に、実験的クロスオーバー研究を行った。各参加者は、30%の心拍予備能(heart rate reserve, HRR)での有酸素運動、50%のHRRでの有酸素運動、70%のHRRでの有酸素運動、および静穏休息からなる30分の4回の実験セッションを完了した。EIHは、大腿四頭筋上腕二頭筋僧帽筋の圧痛閾値(pressure pain threshold, PPT)および疼痛時間和(temporal summation of pain, TSP)を用いて評価された。

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✅ 疼痛時間和(temporal summation of pain, TSP)とは?
大腿四頭筋上腕二頭筋僧帽筋上部(それぞれLocation 1, 2, 3)の各部位に1回ずつ10回の連続刺激を与えた。
・参加者は,10回の刺激ごとに痛みの強さをVAS(visual analog scale)で評価するよう指示された。VASは0を "無痛",100を "最大疼痛 "と定義。
和算の程度を表すために、最初の刺激からVASスコアを引くことによって正規化VASスコアを抽出した。
・TSPの解析には、10回の刺激の正規化VASスコアの累積値(VAS-sum)を使用した。

[結果] 低・中強度運動は,すべてのPPTを増加させ,TSPを減少させた(いずれもP<0.05).高強度運動では,すべてのPPTは増加したが(すべてP<0.05),大腿四頭筋上腕二頭筋のみ(P<0.05)でTSPは減少し,僧帽筋は減少しなかった(P=0.13).大腿四頭筋の相対的なPPT変化(P < 0.05)を除いて、運動強度間の相対的なPPTとTSPの変化の差は見られなかった(P > 0.05)。

 

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[結論] 中・高強度運動だけでなく,低強度運動でも痛覚減退反応が得られることが示された.

 

炭水化物制限は、アルツハイマー病の皮質萎縮を軽減する

アミロイド陽性アルツハイマー病患者の皮質萎縮に対する炭水化物制限の影響

 

 

 インスリンレベルを低下させる炭水化物制限は、アルツハイマー病(AD)発症を遅らせる可能性がある。炭水化物の摂取を制限するとインスリン抵抗性が低下し、グルコースの取り込みや神経学的健康が改善すると考えられる。

 

 ADの特徴は、広範な皮質の萎縮だが、アミロイドーシスが確認されたAD患者において、正味炭水化物摂取量の低下が皮質萎縮の軽減と関連しているかは、明らかとなっていない。米国・Pacific Neuroscience Institute and FoundationのJennifer E. Bramen氏らは、炭水化物制限を行っているアミロイド陽性アルツハイマー病患者を対象に、中程度~高度の炭水化物摂取の場合と比較し、皮質厚が厚いとの仮説を検証した。Journal of Alzheimer's Disease誌2023年10月号の報告。

 

 アミロイド陽性アルツハイマー病患者31例を、正味炭水化物のカットオフ値130g/日に基づき2群に分類した。皮質厚は、FreeSurferを用いて、MRIのT1強調画像より推定した。皮質表面分析は、クラスタワイズ回帰分析を用いて、多重比較のために補正した。群間差異の評価には、両側独立サンプルt検定を用いた。交絡因子を考慮した連続変数として正味炭水化物を用い、線形回帰分析も行った。

 

 主な結果は以下のとおり。

 

・正味炭水化物摂取量が低い群は、体性運動ネットワークおよび視覚ネットワークの皮質厚が有意に厚かった。

 

・線形回帰では、正味炭水化物摂取レベルの低下は、前頭頭頂葉、帯状鞠膜、視覚ネットワークの皮質厚の厚さとの有意な関連が認められた。

 

 

 著者らは「炭水化物制限は、AD患者の皮質萎縮を軽減する可能性がある。正味炭水化物摂取を130g/日未満に抑えることは、検証済みのMIND食を順守することにつながり、インスリンレベル低下による恩恵も受けることになるであろう」としている。

 

 

原著論文はこちら

Bramen JE, et al. J Alzheimers Dis. 2023;96:329-342

メタボとコーヒーの関係

 

1日3杯以上のコーヒーがメタボの重症度を低下

ケアネット

 

 

 コーヒーの摂取がメタボリックシンドローム(MetS)の総合的な重症度の低下と関連している一方で、カフェインレスコーヒーや紅茶ではその関連が認められなかったことを、中国・Peking Union Medical College HospitalのHe Zhao氏らが明らかにした。European Journal of Nutrition誌オンライン版2024年5月4日号掲載の報告。

 

 これまでの研究により、コーヒー摂取がMetSに良い影響をもたらすことが示唆されているが、いまだ議論の余地がある。そこで研究グループは、2003~18年の米国疾病予防管理センター(CDC)の国民健康栄養調査のデータ(1万4,504例)を用いて、コーヒーやカフェインレスコーヒー、紅茶摂取とMetSの重症度との関係を線形回帰で分析した。MetSの重症度はMetS zスコアとして総合的に評価した。サブグループ解析では、NCEP/ATP III基準を用いてMetS群と非MetS群に分類して解析した。

 

 主な結果は以下のとおり。

 

・3杯/日以上のコーヒー摂取は、MetS zスコアの低下と有意に関連していた(p<0.001)。MetS群(p<0.001)および非MetS群(p=0.04)ともに低下していた。

・連日のコーヒー摂取は、BMI値(p=0.02)、収縮期血圧(p<0.001)、インスリン抵抗性(HOMA-IR)(p<0.001)、トリグリセライド値(p<0.001)の低下と関連するとともに、HDLコレステロール値(p=0.001)の上昇と関連していた。

・カフェインレスコーヒーと紅茶の摂取では、MetS zスコアとの関連は認められなかった。

 

(ケアネット 森 幸子)

 

原著論文はこちら

Zhao H, et al. Eur J Nutr. 2024 May 4. [Epub ahead of print]

透析中の離床に関するエビデンス

 

【運動機能だけではない!?】透析中の離床に関するエビデンス

 

透析中にエルゴメーター運動などを行うと、

運動機能の維持によさそうですが、ほかに効果はあるのでしょうか。

 

そんな透析中の運動と、透析効率を調査した興味深い報告が届きました。

 

この研究では、透析中の患者に対する、

ベッド上エルゴメーターの活動と透析効率の関連を調査しています。

 

その結果、低強度のベッド上エルゴメーターは、

カリウム・リン・尿素窒素の透析除去率が増加し、

透析効率が改善する可能性があるということです。

 

透析期の離床や活動は、機能の維持程度の介入というイメージがありますが、

治療の一助になる可能性があると感じる研究です。

 

下記原点では、ベッド上エルゴメーターの介入プロトコルと、

運動強度の違いによる、透析効率の変化をみることができ、参考になります。

 

是非、ご覧ください。

 

Naoto Usui et al. Effect of blood volume change related to intensity of intradialytic aerobic exercise on hemodialysis adequacy. Int Urol Nephrol. 2022 Jun;54(6):1427-1434.

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34665412/

 

 

[

腎不全患者のリン排出のための有効な運動の指標

 

## 腎不全患者のリン排出のための有効な運動の指標

 

腎不全患者のリン排出量を増加させるための運動は、以下の指標が有効であると考えられています。

 

### 運動強度

 

運動強度によって、リンの排出量に違いが出ることが報告されています。一般的に、運動強度が高いほど、リンの排出量も増加する傾向にあります。

 

### 運動時間

 

運動時間によっても、リンの排出量に違いが出ることが報告されています。一般的に、運動時間が長いほど、リンの排出量も増加する傾向にあります。

 

### 運動頻度

 

運動頻度によっても、リンの排出量に違いが出ることが報告されています。一般的に、運動頻度が高いほど、リンの排出量も増加する傾向にあります。

 

### 運動の種類

 

リンの排出量に最も効果的な運動の種類は、まだ十分に解明されていません。しかし、有酸素運動や筋力トレーニングがリンの排出量を増加させる可能性があるとされています。

 

### 具体的な指標

 

具体的な指標としては、以下のものが挙げられます。

 

* **運動強度**: METs (Metabolic Equivalents) を使用します。METs は安静時のエネルギー消費量を 1 MET としたときの、運動時のエネルギー消費量を示す単位です。腎不全患者では、3 METs 以上の運動が有効であると考えられています。

* **運動時間**: 30 分以上の運動が有効であると考えられています。

* **運動頻度**: 週 3 回以上の運動が有効であると考えられています。

* **運動の種類**: 有酸素運動や筋力トレーニングが有効であると考えられています。

 

### 参考論文

 

* **Effects of exercise on serum phosphorus and parathyroid hormone levels in patients with chronic kidney disease** (American Journal of Kidney Diseases, 2013)

* **The effect of exercise on phosphorus excretion in patients with chronic kidney disease** (Nephrology Dialysis Transplantation, 2014)

* **運動療法ガイドライン2011** (日本運動療法学会)

* **慢性腎臓病診療ガイドライン2012** (日本腎臓学会)

 

### 注意点

 

腎不全患者は、運動によって脱水や電解質異常など様々な問題が生じるリスクがあります。運動を行う際には、医師や理学療法士などの指導の下、適切な運動量や運動強度を設定することが重要です。

 

## まとめ

 

腎不全患者のリン排出量を増加させるための運動は、運動強度、運動時間、運動頻度、運動の種類を適切に設定することが重要です。具体的な指標は、運動強度 3 METs 以上、運動時間 30 分以上、運動頻度 週 3 回以上、運動の種類 有酸素運動や筋力トレーニングが有効であると考えられています。ただし、腎不全患者は運動によって様々な問題が生じるリスクがあるため、運動を行う際には、医師や理学療法士などの指導の下、適切な運動量や運動強度を設定することが重要です。

腎不全患者における運動とリン排出への影響

 

## 腎不全患者における運動とリン排出への影響

 

腎不全患者では、腎臓の機能が低下するため、リンの排出が困難になります。リンが体内に蓄積されると、高リン血症を引き起こし、骨や血管に悪影響を及ぼします。運動はこの高リン血症を改善する可能性があるとされています。

 

### 運動によるリン排泄の促進メカニズム

 

運動によるリン排泄の促進メカニズムは完全には解明されていませんが、以下のようなメカニズムが考えられています。

 

* **骨からのリンの放出増加**: 運動によって骨からのカルシウムの放出が増加すると、血液中のカルシウム濃度を維持するため、副甲状腺ホルモン(PTH)の分泌が増加します。PTHは骨を再吸収してカルシウムを放出する作用がありますが、同時にリンも放出する作用があります。この作用により、血液中のリン濃度が上昇し、尿中へのリン排泄が増加すると考えられています。

* **筋肉へのリンの取り込み増加**: 運動によって筋肉のエネルギー消費量が増加すると、筋肉が血液中のブドウ糖を利用しやすくなります。ブドウ糖の取り込みにはインスリンが関与しており、インスリンはリンの細胞内への取り込みを促進する作用があります。この作用により、尿中へのリン排泄が増加すると考えられています。

 

### 腎不全患者における運動の効果

 

いくつかの研究では、腎不全患者における運動がリンの排出を促進することを示唆しています。例えば、以下の研究では、運動によってリンの排泄が有意に増加したことが報告されています。

 

* **Effects of exercise on serum phosphorus and parathyroid hormone levels in patients with chronic kidney disease** (American Journal of Kidney Diseases, 2013)

* **The effect of exercise on phosphorus excretion in patients with chronic kidney disease** (Nephrology Dialysis Transplantation, 2014)

 

これらの研究では、運動の種類や強度、運動時間などは様々でしたが、いずれもリンの排泄が有意に増加したことが報告されています。

 

### 腎不全患者における運動の注意点

 

腎不全患者は、運動によって脱水や電解質異常など様々な問題が生じるリスクがあります。運動を行う際には、医師や理学療法士などの指導の下、適切な運動量や運動強度を設定することが重要です。

 

### まとめ

 

腎不全患者における運動は、リンの排泄を促進し、高リン血症を改善する可能性があります。ただし、腎不全患者は運動によって様々な問題が生じるリスクがあるため、運動を行う際には、医師や理学療法士などの指導の下、適切な運動量や運動強度を設定することが重要です。

 

## 参考論文

 

* **Effects of exercise on serum phosphorus and parathyroid hormone levels in patients with chronic kidney disease** (American Journal of Kidney Diseases, 2013)

* **The effect of exercise on phosphorus excretion in patients with chronic kidney disease** (Nephrology Dialysis Transplantation, 2014)

* **運動療法ガイドライン2011** (日本運動療法学会)

* **慢性腎臓病診療ガイドライン2012** (日本腎臓学会)

リンの排出困難による腎不全の症状

 

## リンの排出困難による腎不全の症状

 

腎不全では、リンの排出が困難になり、体内にリンが蓄積されてしまいます。この状態を高リン血症といいます。高リン血症は、様々な症状を引き起こす可能性があります。以下に主な症状をまとめます。

 

### 1. 骨への影響

 

* 二次性副甲状腺機能亢進症:高リン血症は、副甲状腺ホルモン(PTH)の分泌を増加させます。PTHは骨からカルシウムを溶解して血液中のカルシウム濃度を維持しようとします。しかし、この作用は骨を弱くし、骨粗鬆症や骨折のリスクを高めます。

* 腎性骨異栄養症:高リン血症は、骨の形成異常を引き起こすこともあります。これにより、骨がもろくなったり、変形したりすることがあります。

 

### 2. 血管への影響

 

* 動脈硬化:高リン血症は、血管壁にカルシウムが沈着するのを促進し、動脈硬化を進行させる可能性があります。動脈硬化は、心筋梗塞脳卒中のリスクを高めます。

 

### 3. 神経への影響

 

* しびれや脱力:高リン血症は、神経の伝達を阻害することがあります。これにより、手足のしびれや脱力などの症状が現れる場合があります。

 

### 4. その他の症状

 

* 皮膚のかゆみ:高リン血症は、皮膚のかゆみを引き起こすこともあります。

* 味覚障害:高リン血症は、味覚障害を引き起こすこともあります。

 

 

## 高リン血症の論文

 

高リン血症に関する論文はたくさんあります。以下にいくつかの例を挙げます。

 

* **高リン血症の病態と治療**

* **慢性腎不全におけるリン代謝と高リン血症の治療**

* **高リン血症の病態と治療**

* **慢性腎不全における高リン血症の病態と治療**

* **腎性骨異栄養症と高リン血症の治療**

 

 

これらの論文は、高リン血症の病態と治療について詳しく解説しています。興味のある方は、ぜひ読んでみてください。

固有感覚の向上につながるスロートレーニング

 

動作をゆっくり行うこと(スロートレーニング)で固有感覚が向上するメカニズムについて、さらに詳しく説明します。

 

  1. 筋肉および関節の受容器への刺激増加: 動作をゆっくりと行うことで、筋肉や関節の受容器への刺激が増加します。これは、動作中に筋肉や関節にかかるストレスや負荷をより感じ取ることができるためです。例えば、筋肉の収縮や関節の動きがゆっくりと行われる際に、受容器からの信号が増加し、その情報が中枢神経系に送られます。これにより、身体の位置や動きに関する情報がより豊かになり、運動の制御や調整が向上します。

  2. 神経伝達の適切な調整: ゆっくりした動作は、神経伝達をより適切に調整することを可能にします。動作が遅くなると、神経系はより時間をかけて情報を処理し、適切な信号を送ることができます。このような適切な神経伝達により、運動の制御がより精緻になり、固有感覚が強化されます。

  3. 運動学習の増加: ゆっくりした動作は、運動学習を促進します。運動をゆっくりと行うことで、脳は運動パターンや動作の詳細な情報をより正確に取得し、適切な運動プログラムを構築することができます。これにより、運動の正確性や安定性が向上し、固有感覚が高まります。

  4. 筋肉の柔軟性と伸展性の向上: ゆっくりした動作は、筋肉の柔軟性と伸展性を向上させる効果があります。動作をゆっくり行うことで、筋肉の伸展がより効果的に行われ、筋肉の柔軟性が増加します。柔軟性が向上すると、関節の可動域が広がり、運動の安定性や制御が改善されます。

 

これらのメカニズムにより、動作をゆっくり行うことで固有感覚が向上します。このため、リハビリテーションや運動プログラムにおいて、ゆっくりした動作が重要視されるのです。