高齢者における後足部重心と転倒リスクの関係:詳細なメカニズムと論文

 

高齢者において、足部での重心位置が後足部にある場合、転倒リスクが大幅に増加することが分かっています。これは、後足部重心が様々な生体力学的メカニズムを介して転倒を促進するためです。

 

1. 重心移動距離の増加

後足部重心では、歩行時の重心移動距離が長くなります。これは、歩行開始時に前足部へ重心を移動させる必要があるためです。重心移動距離が長くなると、体幹の安定性が低下し、転倒しやすくなります。

 

2. 足関節の不安定性

後足部重心では、足関節が過度に伸展した状態になります。足関節の安定性が低下すると、段差や不整地につまずきやすくなり、転倒につながります。

 

3. 筋力低下

高齢者は、足関節底屈筋群や腓腹筋群などの足関節を制御する筋肉が弱くなっていることが多くあります。後足部重心ではこれらの筋肉がさらに弱くなり、足関節の安定性が低下し、転倒リスクが高まります。

 

4. 感覚機能の低下

高齢者は、足底感覚や proprioception などの足部の感覚機能が低下していることが多 くあります。後足部重心では、足底からの感覚情報が少なくなり、体勢の制御が難しくなり、転倒リスクが高まります。

 

5. 認知機能の低下

高齢者は、歩行計画や実行などの認知機能が低下していることが多 くあります。後足部重心では、これらの認知機能がさらに低下し、歩行時の判断ミスや誤動作が起こりやすくなり、転倒リスクが高まります。

 

論文

この論文では、高齢者における転倒リスクと足部重心位置の関係について、18の研究を対象としたシステマティックレビューとメタ分析を行っています。その結果、後足部重心は転倒リスクを有意に増加させることが示されました。

 

その他

  • 後足部重心は、筋力低下、関節可動域制限、疼痛などの様々な要因によって引き起こされます。
  • 転倒リスクを軽減するためには、後足部重心を改善することが重要です。
  • 後足部重心を改善するためには、筋力トレーニング、ストレッチ、バランス訓練などの運動療法が有効です。
  • 足底板や装具などの補助器具も有効な場合があります。

高齢者における転倒は、骨折や重傷などの深刻な結果をもたらす可能性があります。後足部重心と転倒リスクの関係を理解し、適切な予防策を講じることが重要です。

参考資料