橈骨遠位端骨折後の動き改善のポイント


Q.
橈骨遠位端骨折後のROM回復に重要なことは何ですか?

 


 
A.
手関節の運動に大きく貢献する月状骨の動きの改善が重要と考えます。
 
手関節をやや掌屈位に保ち、第3中手骨を近位方向にたどっていくと凹みがあり、
その先にある少し出っ張りを感じる部分が月状骨です。
 
月状骨は橈骨遠位端と有頭骨の間にあり、横から見ると三日月の形をしています。
 
手関節掌屈位時に月状骨は橈骨に対して背屈側に滑り、手関節背屈位で掌屈側に滑り、
触診時に、手関節掌屈時に出っ張りを感じ、背屈時に凹むのが月状骨です。
 
橈骨遠位端骨折の術後には、手関節背屈・撓屈から手関節掌屈・尺屈方向への、
動きを引き出すダーツスロー・モーション面のROM改善が必要といわれています。
 
橈骨に対する月状骨、舟状骨の滑りを最小にとどめられる効率の良い動きで、
骨折部での負担をかけずに行えるROMです。
 
退院後に、自主練習や積極的に手関節の動きを伴う動作を患者さん自身が行わなければ、
痛みや浮腫がぶり返し、瞬く間に拘縮につながります。
 
上記のROMエクササイズと合わせて重要なのが、自主練習です。
 
入院中から瓶のふた回しなどの自主練習を習慣化するとともに、
食事や更衣、整容などにおいても積極的な手の使用を促し、
退院までに日常生活で使える手にしておくことが大切です。