重心位置に対する腓骨筋の役割

足部の重心位置に対する腓骨筋の役割について、以下のように説明できます:

 

 

1. 重心の外側移動の制御

 

腓骨筋(長腓骨筋と短腓骨筋)は、足部の外側に位置し、主に足部を外反(外側に傾け る)させる働きがあります。しかし、重心が外側に移動した際には、腓骨筋は遠心性収 縮を行い、過度の外反を抑制する役割を果たします。これにより、重心の外側への過度の移動を防ぎ、バランスの維持に貢献します。

 

2. 内側縦アーチの支持

 

長腓骨筋は、第一中足骨の底部に停止しており、前足部の回内運動を引き起こす作用 があります。この作用により、内側縦アーチの支持に寄与し、足部の安定性を高めます。

 

3. 重心の内側移動への関与

 

興味深いことに、長腓骨筋は母趾側(内側)への荷重を誘導する際にも活動が増加することが報告されています。これは、長腓骨筋が単に外側への重心移動を制御するだ けでなく、内側への重心移動にも関与していることを示唆しています。

 

4. 姿勢制御における役割

 

腓骨筋は、立位姿勢の安定性維持に重要な役割を果たします。特に、片脚立位や歩行 時など、動的な姿勢制御が必要な場面で、腓骨筋の活動が重要となります。

 

5. 足関節捻挫との関連

 

足関節内反捻挫の既往がある場合、長腓骨筋の活動量が減少することが報告されて います。これは、重心の外側移動を制御する能力の低下につながる可能性があり、再 発予防の観点からも腓骨筋の機能強化が重要であることを示唆しています。

 

 

以上のように、腓骨筋は足部の重心位置の制御に多面的に関与しており、単に外側への重心 移動を抑制するだけでなく、内側への重心移動や全体的な姿勢制御にも重要な役割を果たし ています。

 

 

適切なトレーニングやリハビリテーションを通じて腓骨筋の機能を維持・強化するこ とが、バランス能力の向上や足関節捻挫の予防に寄与すると考えられます。