静的バランス能力と動的バランス能力は、メカニズムが異なる

 

静的バランス能力と動的バランス能力は、どちらもバランスを維持する能力ですが、そのメカニズムは異なります。

 

静的バランス能力とは、静止した状態を維持する能力のことです。片足立ちや、目を閉じて立っている状態を維持する能力などが含まれます。静的バランス能力は、主に以下のメカニズムによって維持されています。

前庭感覚: 前庭感覚とは、頭部の動きを感知する感覚であり、平衡感覚を維持するのに重要な役割を果たしています。前庭感覚は、内耳にある三半規管と耳石器によって感知されます。
固有感覚: 固有感覚とは、筋肉や関節の動きを感知する感覚であり、身体の位置や姿勢を把握するのに重要な役割を果たしています。固有感覚は、筋肉や関節にあるセンサーによって感知されます。
視覚: 視覚は、周囲の環境を把握するのに重要な役割を果たしており、バランスを維持する際にも重要な役割を果たしています。視覚によって、身体の位置や姿勢を把握し、バランスを崩しそうになったときに修正することができます。

 


動的バランス能力とは、移動しながらバランスを維持する能力のことです。歩く、走る、方向転換するなどの動作を行う際に、バランスを崩さずに姿勢を維持する能力などが含まれます。動的バランス能力は、主に以下のメカニズムによって維持されています。

前庭感覚: 前庭感覚は、静的バランス能力と同様に、動的バランス能力を維持する際にも重要な役割を果たしています。前庭感覚によって、頭部の動きを感知し、身体の位置や姿勢を把握することができます。
固有感覚: 固有感覚は、静的バランス能力と同様に、動的バランス能力を維持する際にも重要な役割を果たしています。固有感覚によって、筋肉や関節の動きを感知し、身体の位置や姿勢を把握することができます。
視覚: 視覚は、静的バランス能力と同様に、動的バランス能力を維持する際にも重要な役割を果たしています。視覚によって、周囲の環境を把握し、バランスを崩しそうになったときに修正することができます。
筋力: 筋力は、身体を支え、バランスを維持するのに重要な役割を果たしています。筋力が低下すると、バランスを維持することが難しくなります。
関節可動域: 関節可動域は、身体を自由に動かすことができる範囲のことです。関節可動域が制限されると、バランスを維持することが難しくなります。

 

 

静的バランス能力と動的バランス能力は、どちらもバランスを維持する能力ですが、そのメカニズムは異なります。

静的バランス能力は、主に前庭感覚、固有感覚、視覚によって維持されています。

動的バランス能力は、前庭感覚、固有感覚、視覚に加えて、筋力、関節可動域によっても維持されています

 

もとになる論文

静的バランス能力と動的バランス能力のメカニズムについてまとめた論文:
論文タイトル: Balance Control and Its Assessment in Older Adults
著者: Maki BE, McIlroy WE
掲載誌: Phys Ther. 2007 Feb;87(2):200-13.
この論文では、高齢者のバランス能力のメカニズムと評価方法について詳しく解説しています。