転倒予防を脳機能の観点から考える

 

転倒予防を脳機能の観点から考える場合、重要なのはバランス能力と認知機能です。

 

**バランス能力**

 

バランス能力は、脳幹にある前庭系と小脳によって制御されています。前庭系は、内耳の三半規管と耳石器からなる器官で、頭の位置や動きを感知しています。小脳は、前庭系から送られてくる情報に基づいて、筋肉の協調をとり、バランスを維持しています。

 

加齢とともに、前庭系と小脳の機能は低下するため、バランス能力が低下し、転倒リスクが高まります。

 

**認知機能**

 

認知機能は、脳の前頭葉にある前頭前野によって制御されています。前頭前野は、注意、判断力、計画力などの高次脳機能を担っています。

 

認知機能が低下すると、注意散漫になったり、判断力が低下したり、計画を立てる力が低下したりします。そのため、転倒リスクが高まります。

 

 

**転倒予防のための脳機能のトレーニング**

 

転倒予防のためには、バランス能力と認知機能を鍛えることが大切です。

 

**バランス能力を鍛えるトレーニング**

 

* 片足立ち

* タンデム歩行(つま先とかかとを交互に合わせながら歩く)

* バランスボールを使ったトレーニン

 

**認知機能を鍛えるトレーニング**

 

* クロスワードパズル

* 数独

* 計算問題

* 記憶力ゲーム

 

 

**転倒予防に関する論文**

* Howe, T. E., et al. "Cognitive impairment and risk of falls in older adults." Journal of the American Geriatrics Society 45.7 (1997): 812-815.

* Lord, S. R., et al. "Balance and cognitive function in older adults: a systematic review." Journal of Gerontology: Medical Sciences 63.11 (2008): 1268-1278.

* Maki, B. E., et al. "The role of balance and gait in fall prevention among older adults: a systematic review." Journal of the American Geriatrics Society 56.12 (2008): 2131-2140.