ベンドプニア(Bendopnea)前屈呼吸苦と呼ばれる身体所見

Q.
心機能が悪いかどうか、前かがみになることでわかるということですが、本当ですか?
 

 

A.
本当です。ベンドプニア(Bendopnea)前屈呼吸苦と呼ばれる身体所見があります。


 
患者さんに前かがみで靴紐を結ぶ、もしくは靴下をはくように指示し、前屈した姿勢をしてから30秒以内に息切れ感を訴えた場合は陽性です。


 
息切れの機序としては、前かがみの姿勢をとることで横隔膜が圧迫されて胸腔内圧が上昇し、心臓に戻る静脈血の量が増加します。
 
その結果、左心室の拡張末期圧が上昇し、心拍出量が低下した心不全患者さんでは、心臓が十分な血液を送り出すことができずに肺に血液がうっ滞して息切れを引き起こします。


 
ベンドプニア(Bendopnea)前屈呼吸苦は、呼吸困難、起坐呼吸と関連することや、死亡率の増加を上昇させることが報告されています(文献1)。
 
椅子に座った状態で足に両手を伸ばす姿勢をとるだけで、患者さんに特別な検査を行うことなく、30秒間で実施できるチェックです。
 
患者さんの心機能低下を把握する一つの方法として知っておくとよい