心不全の進行をフィジカルアセスメントからとらえる方法

 

フィジカルアセスメントの際には心不全の進行を判定するためにいくつかの指標を評価します。これらの指標は個々の患者で症状や徴候が多様であるため、総合的な視点から評価する必要があります。

 

以下に主な指標を示します:

 


呼吸状態:
呼吸数の増加(通常、成人では1分間に12~20回)。
呼吸の苦しさや努力呼吸(息切れ、呼吸困難)。
パラオキシズマル夜間呼吸困難(PND)や夜間頻尿は、心不全の進行を示す

 

体液の停滞:
下肢や足首の浮腫
頸静脈怒張(JVD)。
腹水の蓄積(ascites)。
間欠的または持続性の体重増加

 

心臓の状態:
心音(S3)の発見は心不全の診断に特に有効です。
心拍数の異常(特に頻脈)。
肺におけるクラックル音(湿性ラ音)、喘鳴

 

離心血管徴候:
冷たく、青白い皮膚(末梢循環不全の徴候)や皮膚の湿り気(低出力状態のサイン)。
創傷治癒の遅れや毛細血管反充実の減少。
チアノーゼ(中央チアノーゼは酸素飽和度の低下を示し、末梢チアノーゼは末梢循環不全を示唆)。

 

脈拍のパルス:
弱いまたは速い脈拍。
小さく急な脈拍(pulsus parvus et tardus)も心不全の進行の兆候となり得ます。

 


臓器機能:
肝臓の膨隆(右心不全による門脈圧の増加が伴っている場合)。
腎機能の低下指標(尿量の減少や夜間の頻尿)。

 

 


フィジカルアセスメントは、これらの指標を基に病状のモニタリングおよび進行の評価を行います。症状の出現及び変化のスピードもクリニカルな判断材料になることから、定期的なアセスメントが必要です。