認知症で、食事が進まない場合にどう考えるか

 

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認知症で食事が進まない患者さんがいます。

 

まずは食事が進まない原因を考えてから、対策を検討することをお勧めします。

 

 

認知症患者さんの、食事が進まない原因は、2つ考えられます。

 

 

1つは「失行」がある場合、もう1つは「食事が認識できていない」場合です。

 

「失行」は高次脳機能障害でもよく耳にする障害ですが、認知症の症状のひとつで、お箸など、物品の使用がうまくできなくなる障害です。

 

この場合の対応は、お箸の代わりにフォークやスプーンなど、使いやすい物品を使うことで、食べられることがあります。

 

フォークやスプーンの使用がそのままでは難しい場合には、柄を太くする、色で目立たせるなども工夫のひとつです。

 

「食事が認識できていない」場合とは、認知症が重度で、食事自体が認識できていない可能性が考えられます。

 

このような場合は、「食事がきましたよ」、「ご飯を食べていいですよ」などの声掛け、そっと肩に手を添えるなど、“食べる”ということが認識されるように促してみましょう。

 

「配膳して、目の前に食事を置けばわかるだろう」、「食事が目の前にあるのに、食べないから食思不振かな」と決めつけず、認知症の症状がどのような影響を及ぼすのか、常に患者さんの立場になって、考えることが重要です。