・慢性心不全が急性増悪 (代償機序が破綻) すると急性心不全になる。
・代償機序が破綻し、心不全の原因となった因子を聴取したり、カルテより抽出することは再発予防 ためにも重要である
慢性心不全
症状,理学所見
・心不全の症状は、左心不全症状と右心不全症状に分けて考えると理解しやすい。
(1)左心不全症状
●左心不全の症状は、左室のポンプ機能の低下により分けられ、以下の2つが代表的な症状である
A. 心拍出量低下による各種臓器の症状
・心拍出量低下の症状として、易疲労感(骨格筋への血液供給不足),尿量減少(腎血流量減少)など 認められる。
●夜間多尿も心不全初期に典型的な症状で、日中は活動しているので相対的に筋に血流が行ってしまい 夜間は腎血流量が回復し尿の産生が増加するために生じる。
B.左室ポンプ機能低下による左室拡張末期圧や拡張末期容量の増加により,左室に戻りきれない血液が うっ滞して生じる肺うっ血症状
●肺うっ血が続くと肺水腫となり人工呼吸管理が必要となる。
●運動時の呼吸困難を初め、起座呼吸, 発作性夜間呼吸困難が生じる。
2)右心不全症状
●右心不全が続くと肺水腫となり、人工呼吸管理が必要となる。
2) 右心不全症状
・右不全は、左不全に続発して起きることが多い
・左心不全時に認められる肺静脈圧の上昇は、右心系にとっては後負荷であり、左心不全による肺静脈圧の上昇が長く続くと右心不全になりやすくなる。
●右心不全の主な症状は、静脈のうっ血症状で、全身のうっ血,浮腫,消化器症状などである。
・静脈圧の上昇によって水分が胸腔や腹腔内に漏出すると、胸水や腹水となる。
・身体所見として、肝腫大や頸静脈の怒張が認められる。