起立動作(Sit-to-Stand, STS)において、各相で働く筋の貢献割合は動作のフェーズごとに異なります。以下に、起立動作を3つの主要なフェーズに分け、それぞれのフェーズでの主要な筋の貢献割合について詳しく説明します。
### 起立動作のフェーズ
1. **準備相(Preparation Phase)**: 座位から体幹を前傾させる段階
2. **離床相(Seat-off Phase)**: 殿部が椅子から離れる段階
3. **立位相(Standing Phase)**: 完全に立ち上がる段階
### 各フェーズでの筋の貢献割合
#### 1. 準備相(Preparation Phase)
このフェーズでは、体幹を前傾させて重心を前方に移動させるために以下の筋が主に働きます。
- **脊柱起立筋**: 体幹の前傾を制御するために働きます。
- **腹直筋**: 体幹の安定性を保つために働きます。
具体的な数値としては、脊柱起立筋の筋活動は最大随意収縮(MVC)の約30-40%程度とされています[1]。
#### 2. 離床相(Seat-off Phase)
このフェーズでは、殿部が椅子から離れるために大きな力が必要となり、以下の筋が主に働きます。
- **大腿四頭筋**: 膝関節の伸展を行うために働きます。
- **大殿筋**: 股関節の伸展を行うために働きます。
- **ハムストリングス**: 膝関節の安定性を保つために働きます。
具体的な数値としては、大腿四頭筋の筋活動はMVCの約50-70%、大殿筋は約40-60%、ハムストリングスは約30-50%とされています[2][3][8]。
#### 3. 立位相(Standing Phase)
このフェーズでは、完全に立ち上がるために以下の筋が主に働きます。
- **大腿四頭筋**: 引き続き膝関節の伸展を行います。
- **大殿筋**: 引き続き股関節の伸展を行います。
- **腓腹筋**: 足関節の安定性を保つために働きます。
具体的な数値としては、大腿四頭筋の筋活動はMVCの約30-50%、大殿筋は約20-40%、腓腹筋は約10-20%とされています[2][3][8]。
### まとめ
起立動作における各フェーズでの主要な筋の貢献割合は以下の通りです:
| フェーズ | 主な筋肉 | 貢献割合(MVC %) |
| -------------- | ---------------- | ---------------------- |
| 準備相 | 脊柱起立筋 | 30-40% |
| | 腹直筋 | 20-30% |
| 離床相 | 大腿四頭筋 | 50-70% |
| | 大殿筋 | 40-60% |
| | ハムストリングス | 30-50% |
| 立位相 | 大腿四頭筋 | 30-50% |
| | 大殿筋 | 20-40% |
| | 腓腹筋 | 10-20% |
これらの数値は一般的な傾向を示しており、個々の筋力や動作のスピード、体格などによって変動する可能性があります。
[1] https://www.jstage.jst.go.jp/article/jnse/10/0/10_100/_article/-char/ja/
[2] https://www.nisikyu-u.ac.jp/nagahara/uploads/ck/adminmini/files/%E5%9B%B3%E6%9B%B8%E9%A4%A8/%E7%B4%80%E8%A6%81/%E8%A5%BF%E4%B9%9D%E5%B7%9E%E3%83%AA%E3%83%8F%E3%83%93%E3%83%AA%E3%83%86%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3%E7%A0%94%E7%A9%B6/Vol.4%202011/4-09.pdf
[3] https://core.ac.uk/download/427154893.pdf
[4] https://sapmed.repo.nii.ac.jp/record/16307/files/n13449192225.pdf
[5] https://cir.nii.ac.jp/crid/1390282680553036672
[6] https://cir.nii.ac.jp/crid/1390001205573021056
[7] https://rehatora.net/%E5%90%84%E9%96%A2%E7%AF%80%E9%81%8B%E5%8B%95%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E7%AD%8B%E8%82%89%E3%81%AE%E8%B2%A2%E7%8C%AE%E5%BA%A6%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%B0/
[8] https://www.jstage.jst.go.jp/article/pttochigi/10/1/10_10-21/_pdf/-char/ja
[9] https://www.suzuka-u.ac.jp/wp-content/uploads/2018/04/19daigakuinshushironbunyoushi.pdf
[10] https://researchmap.jp/sato-e/research_projects/32597059
[11] https://www.jstage.jst.go.jp/article/jnse/6/1/6_2/_pdf/-char/ja
[12] https://www.jstage.jst.go.jp/article/ptcse/25/1/25_57/_pdf
[13] https://www.cit.nihon-u.ac.jp/laboratorydata/kenkyu/kouennkai/reference/No.49/pdf/6-6.pdf
[14] https://www.kawasakigakuen.ac.jp/files/pdf/open_education_202305.pdf
[15] https://core.ac.uk/download/pdf/230333199.pdf
[16] https://www.jstage.jst.go.jp/article/cjpt/2015/0/2015_0545/_article/-char/ja/
[17] http://www.fujita-hu.ac.jp/~rehabmed/contents/s_reha_ken/GaitAnalysis1007Sec.pdf