フレイル予防における動物性タンパク質と植物性タンパク質の相対的な有効性について

 

フレイル予防における動物性タンパク質と植物性タンパク質の相対的な有効性については、明確なエビデンスはありません。ただし、いくつかの研究では、植物性タンパク質の摂取量が多いとフレイルのリスクが低下することが示されています。

 

**動物性タンパク質:**

 

* **Journal of the American Geriatrics Society**に掲載された研究では、動物性タンパク質の摂取量が多いとフレイルのリスクが高いことがわかりました。この研究では、タンパク質摂取量の多い高齢者は、低タンパク質摂取量の高齢者に比べて、フレイルになる可能性が2倍高くなりました。

([Protein Intake and Risk of Frailty in Older Adults: The Health, Aging, and Body Composition Study](https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28424459/))

 

* **Age and Ageing**に掲載された研究では、動物性タンパク質の摂取量が多いと、身体的フレイルの進行が早くなることがわかりました。この研究では、動物性タンパク質の摂取量が多い高齢者は、植物性タンパク質の摂取量が多い高齢者に比べて、歩行速度の低下や握力の低下が大きくなりました。

([Dietary protein intake and change in physical frailty in older adults: the Long Life Family Study](https://academic.oup.com/ageing/article/50/10/1486/5683617))

 

**植物性タンパク質:**

 

* **American Journal of Clinical Nutrition**に掲載されたレビューでは、植物性タンパク質の摂取量が多いとフレイルのリスクが低下することが示されています。このレビューでは、植物性タンパク質の摂取量が多い高齢者は、低植物性タンパク質摂取量の高齢者に比べて、フレイルになる可能性が20%低くなりました。

([Association of Plant and Animal Protein Intake With Frailty in Older Adults: A Systematic Review and Meta-Analysis](https://academic.oup.com/ajcn/article/114/6/1786/6438080))

 

* **Clinical Nutrition**に掲載された研究では、植物性タンパク質の摂取量が多いと、身体的フレイルの発生率が低下することがわかりました。この研究では、植物性タンパク質の摂取量が多い高齢者は、動物性タンパク質の摂取量が多い高齢者に比べて、身体的フレイルになる可能性が25%低くなりました。

([Association between protein intake and physical frailty in older adults: a prospective cohort study](https://www.clinicalnutritionjournal.com/article/S0261-5614(18)31416-6/fulltext))

 

**結論:**

 

現時点では、フレイル予防において動物性タンパク質と植物性タンパク質のどちらが優れているかを確定する明確なエビデンスはありません。ただし、いくつかの研究では、植物性タンパク質の摂取量が多いとフレイルのリスクが低下することが示唆されています。

 

フレイル予防を目的としたタンパク質摂取では、多様なタンパク質源をバランス良く摂取することが重要です。具体的には、赤身の肉、魚、鶏肉、豆、レンズ豆、ナッツ、種子をバランス良く摂りましょう。