寝たきりによる血便の要因

 

Q.
高齢者で臥床傾向の患者さんは、血便が出やすくなるって本当ですか?
 

 


A.
本当です。
寝たきりによる血便の要因は、直腸の虚血です。


 


直腸が虚血になる要因は、寝たきりによって引き起こされる「脱水」と「便秘です。

 


 
高齢者はベースが脱水である上に、臥床状態では上半身に血流がシフトすることで、利尿ホルモンの分泌が促進して慢性的に脱水状態となり、腸の血流が低下します。
 

 

 

さらに、臥床状態は、腸蠕動運動を抑制して便秘を引き起こします

 



脆弱化した血管に、便秘による局所圧迫(血流障害)や、脱水による血流低下が起こると、直腸粘膜は次第に虚血の状態となっていきます。



虚血状態では、大腸の粘膜が損傷を受け、粘膜が腸管壁からはがれ落ち、鮮血便や鮮血が混じった出血を伴う下痢症状が現れます

 

 


 
対策は座位以上の離床の機会を作ることと、お腹に触れて腸の血流を改善するのがお勧めです。


 
座位を保持することで、下半身に血流はシフトするので大腸の血流は維持されます。また、背臥位で深呼吸を合わせて腹部全体を優しく触れます。

 


そのときに、腹部を左右で比べたときに、張ってる方があれば、指先(指腹)で爪の色が変わらない程度の圧で軽く圧迫してみましょう。

 


 
このアプローチで、腸の位置が整い、腸の血流が改善する効果が期待できます。