慢性炎症の有無や程度を調べる方法

 

## 慢性炎症の有無や程度を調べる方法

 

慢性炎症の有無や程度を調べる方法には、以下のようなものがあります。

 

### 1. 血液検査

 

血液検査では、炎症反応を示すマーカーであるC反応性タンパク(CRP)や赤血球沈降速度(ESR)を測定します。CRPは、炎症が起こると肝臓で産生されるタンパク質であり、ESRは炎症によって赤血球が沈降する速度を示します。

 

### 2. 画像検査

 

レントゲンやCTスキャンMRIなどの画像検査では、臓器や組織の炎症の様子を直接観察することができます。関節の腫れや骨の破壊など、慢性炎症による組織の変化を検出できます。

 

### 3. 生検

 

生検とは、患部から組織の一部を採取して顕微鏡で観察することです。慢性炎症が疑われる組織に炎症細胞が浸潤しているかどうかを調べることができます。

 

### 4. その他の検査

 

* 自己抗体検査: 慢性炎症に伴って自己抗体が産生されることがあるため、自己抗体の有無を調べる検査を行います。

* サイトカイン検査: サイトカインは免疫反応に関与する物質であり、慢性炎症では特定のサイトカインが上昇することがあります。

 

### 関連する論文

 

* **Biomarkers of chronic inflammation**

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5651228/

 

* **Diagnostic tests for chronic inflammation**

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4538681/

 

* **Laboratory assessment of chronic inflammation**

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5567926/

 

### まとめ

 

慢性炎症の有無や程度を調べるには、血液検査、画像検査、生検などの方法があります。検査の結果を総合的に判断することで、慢性炎症の有無や程度を診断します。

 

 

## 注意事項

 

慢性炎症を疑う症状がある場合は、自己判断で検査を受けるのではなく、専門医に相談してください。

高齢者と慢性炎症と慢性疼痛の関係

 

## 高齢者と慢性炎症と慢性疼痛の関係

 

高齢者では、慢性炎症と慢性疼痛の発生率が高くなっています。慢性炎症は、感染症や怪我などによって引き起こされる急性炎症が長期間続く状態であり、身体の組織や臓器に損傷を与えます。慢性疼痛は、痛みが3ヶ月以上続く状態であり、生活の質を低下させる要因となります。

 

高齢者における慢性炎症と慢性疼痛の関係は、以下の要因が関係していると考えられています。

 

1. **免疫機能の低下:** 加齢とともに免疫機能が低下すると、感染症や怪我などの炎症を適切に抑えられなくなり、慢性炎症が発生しやすくなります。

2. **細胞の老化:** 細胞が老化すると、炎症を促進する物質を産生するようになり、慢性炎症が発生しやすくなります。

3. **生活習慣:** 喫煙や運動不足、不健康な食生活などの生活習慣は、慢性炎症の発症リスクを高めます。

 

慢性炎症は、慢性疼痛が発生する原因の一つと考えられています。慢性炎症によって、痛みの信号を脳に伝える神経が刺激され、慢性疼痛が発生するとされています。また、慢性炎症は、関節や筋肉などの組織を破壊し、疼痛を引き起こすこともあります。

 

### 関連する論文

 

* **Inflammaging and chronic pain in the elderly**

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5423203/

 

* **The role of chronic inflammation in chronic pain**

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5374429/

 

* **Chronic pain and aging: A complex relationship**

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5325448/

 

### まとめ

 

高齢者では、慢性炎症と慢性疼痛の発生率が高くなっています。慢性炎症は、免疫機能の低下、細胞の老化、生活習慣などが要因となり、慢性疼痛が発生するとされています。高齢者における慢性炎症と慢性疼痛の予防と治療は、健康寿命を延伸する上で重要課題となっています。

 

スロートレーニングと固有感覚の関係について

 

## スロー筋力トレーニングと固有感覚の関係について

 

スロー筋力トレーニングとは、ゆっくりと負荷をかけて筋肉を収縮させるトレーニング方法です。一般的な筋力トレーニングよりも負荷が軽く、ゆっくりと時間をかけて行うのが特徴です。

 

固有感覚とは、筋肉や関節の位置や動きを感知する感覚のことです。プロプリオセプターと呼ばれる感覚受容器が筋肉や関節に存在し、脳に情報を送信することで、身体の姿勢や動きを調節するのに役立ちます。

 

スロー筋力トレーニングは、固有感覚の改善に効果的であると考えられています。筋肉をゆっくりと収縮させることで、プロプリオセプターからの情報がより正確に脳に伝わるようになると考えられています。また、スロー筋力トレーニングは、筋肉の緊張を緩和し、柔軟性を向上させる効果もあるため、固有感覚の改善にさらに貢献すると考えられています。

 

### 関連する論文

 

* **The effect of slow strength training on proprioception in older adults**

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5516651/

 

* **Proprioceptive training improves balance and gait in patients with chronic stroke**

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4886092/

 

* **The role of proprioception in motor control**

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4846188/

 

### まとめ

 

スロー筋力トレーニングは、固有感覚の改善に効果的であると考えられています。筋肉をゆっくりと収縮させることで、プロプリオセプターからの情報がより正確に脳に伝わるようになると考えられています。また、スロー筋力トレーニングは、筋肉の緊張を緩和し、柔軟性を向上させる効果もあるため、固有感覚の改善にさらに貢献すると考えられています。

 

 

## 注意事項

 

本回答は参考情報であり、医学的な診断や治療には使用できません。トレーニングを行う場合は、専門家に相談してください。

40秒の高強度間欠的運動が、30分以上の有酸素運動と同等の「最大酸素摂取量」を向上させること

 

早稲田大学(早大)は4月12日、レーニング効果を生み出す「最少(の運動)量」のメカニズムについて、強度の工夫によって、短時間であっても大きな運動効果をもたらし得ることを発見したと発表した。

同成果は、早大 スポーツ科学学術院の川上泰雄教授、国立スポーツ科学センターの山岸卓樹研究員らの共同研究チームによるもの。詳細は、「Medicine & Science in Sports & Exercise」に掲載された。

効率のよいトレーニング方法として、わずか40秒の高強度間欠的運動(20秒の全力運動を、休憩を挟んで2本実施)が、30分以上を要する中程度の強度の有酸素運動と同等もしくはそれ以上に「最大酸素摂取量」(全身持久力の指標である、1分当たりの酸素摂取量の最大値)を向上させることが明らかにされている

一方、間欠的運動の時間を減らした場合(10秒を2本、あるいは20秒を1本)は同様の効果が得られないことも確認されているが、その理由は未解明。さらに、高強度間欠的運動に関する研究では、エネルギー代謝を主とするものが多く、筋肉への影響については不明だったという。全身持久力や筋力を高めるトレーニングの最少量の解明や、筋肉への影響を明らかにできれば、現代人の運動不足の解消や、健康増進、疾病予防につながることが期待されるとする。

 

  • 高強度間欠的運動実施前後の大腿部のMRIの横断画像例

    高強度間欠的運動実施前後の大腿部のMRIの横断画像例。各筋の色の変化は、筋活動の度合いが反映され

  • たもの(青-緑-黄-赤の順で筋活動が高くなる)(出所:早大Webサイト)

そこで研究チームは今回、トレーニング効果を生み出す最少量の解明を目指し、異なる高強度間欠的運動中の全身・局所のエネルギー代謝、大腿部の筋活動について多角的に検証することにしたという。

 

今回の研究で用いられた運動課題は、「10秒の全力スプリントを80秒の休憩時間を挟んで4本」と「20秒の全力スプリントを160秒の休憩を挟んで2本」の2種類。いずれの運動課題も自転車エルゴメータを用いて実施され、総運動時間(40秒)とスプリント時間と休憩時間の比率(1:8)は運動課題間で統一された。その結果、主に以下の3点の結果を得られたとした。

(左)高強度間欠的運動。(右)従来の有酸素運動(出所:早大Webサイト)

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  • 10秒以上のスプリントを反復した場合、2本目以降は全身および筋肉の酸素消費量の増加が頭打ちになる。
  1. 筋肉の酸素消費量は、10秒と比較し20秒スプリントで増大する。

  2. いずれの運動課題も大腿部8筋の活動を有意に増大させる。

さらに、これらの結果から以下の3点がわかった。

 

  1. 10秒以上の全力スプリントを反復する場合、全身・筋肉の有酸素性エネルギー代謝を高めるためには2本で十分である。
  2. 総運動時間(40秒)を運動課題間で統一した場合、(スプリントの本数を減らして)スプリント1本あたりの時間を長くすることで、筋肉の酸素消費量を最大限に高められる。
  3. わずか40秒の高強度間欠的運動で、大腿部の主要な筋群の活動が高まる。

なお今回の研究では、全身の酸素消費量は「呼気ガス分析法」で、大腿部の筋肉の酸素消費量は「近赤外線分光法」で、大腿部の筋活動は「MRIT2マッピング法」で分析された。

スプリントの反復に伴う全身および筋の酸素消費量の変化

スプリントの反復に伴う全身(左)および筋(右)の酸素消費量の変化。スプリント2本目以降は全身、筋肉

の酸素消費量が共に頭打ちになる。また、筋の酸素消費量は20秒スプリントにおいて増大する(右)

(出所:早大Webサイト)

 

世界保健機関(WHO)の身体活動に関する最新ガイドラインでは、1週間あたり150分以上の有酸素運動(たとえば1日30分のウォーキングを5日間)や週2回以上の筋力トレーニングが推奨されている。しかし、多忙な現代人にとって、その推奨事項を満たすことは決して容易ではない。それに対し、20秒の全力スプリント2本を週に1~2回程度のペースなら、定期的に続けていきやすいといえるのではないだろうか。

最大酸素摂取量の改善はアスリートの競技力のみならず、一般成人においても疾病予防につながることがこれまでの研究から証明されている。さらに、大腿部の筋肉量は加齢の影響を最も受けやすいといえるが、今回の研究で用いられた運動様式は、加齢に伴う大腿部の筋肉量の減少を食い止める一助となることも期待されるとした。

スプリント実施前後の大腿部のMRIの横断画像例

スプリント実施前後の大腿部のMRIの横断画像例。今回の研究では、大腿部8筋が対象とされた。各筋の

色の変化は、筋活動の度合いが反映されたもの(青-緑-黄-赤の順で筋活動が高くなる)。(A)大腿直筋、

(B)外側広筋、(C)内側広筋、(D)中間広筋、(E)大内転筋、(F)大腿二頭筋長頭、(G)半腱様筋、(H)半膜様筋

(出所:早大Webサイト)

 

今回の研究では、高強度間欠的運動に対する一過性の生理学的な応答が検証された。しかし、実際にトレーニングの効果を確かめるためには、今回用いられた運動を少なくとも数週間から数か月間実施し、その前後で効果検証をする必要があるという。

また20秒の全力スプリント2本は、運動時間は極めて短いが、特に高強度の運動に慣れていない人にとっては、今回の研究で用いられた運動様式の実施はハードルが高い可能性があるとする(急な全力疾走は肉離れなどのケガを負うリスクも高まるので注意が必要)。今回の研究では、全力スプリント中の全身、筋肉の酸素消費量の増大は概ね15秒で頭打ちになることも確認されていることから、運動時間を30秒(15秒×2本)とさらに短くすることも可能だといえるとした。

さらに、短時間であっても全力を出すとそれ相応の身体的負担が伴う。そこで今後は、少し発揮パワーを抑えた(強度を落とした)運動でも、適切な効果が得られるかどうかを検証する必要があるとしている。

立位バランスに必要な様々な感覚の貢献割合

 

立位バランスを維持するためには、主に三つの感覚系が関わっています:視覚、前庭感覚(内耳にある平衡感覚)、そして前述した固有感覚(プロプリオセプション)。これらの感覚系が相互に情報を統合し、身体の安定を維持します。若年者と高齢者でのこれら感覚の貢献割合については、研究や評価方法によって異なる結果が出ることがありますが、一般的な傾向を紹介します。

 

 

若年者の場合:


視覚:約20%程度の貢献。視覚情報は、環境との関係を認識し、バランスを取るために重要です。


前庭感覚:約20%程度の貢献。前庭器官からの情報は、頭部の動きや位置を感知し、身体のバランスを調整します。


固有感覚:約60%程度の貢献。身体の位置や動きを感知し、筋肉の動きを調節することで、立位バランスの大部分を占めます。

 


高齢者の場合:


視覚:若年者と同様またはそれ以上。しかし、視力の低下により、バランス維持における視覚の役割は制限されることがあります。


前庭感覚:若年者と同様またはそれ以上。しかし、内耳の老化により前庭感覚の効率が低下することがあります。


固有感覚:若年者よりもその重要性が増す。しかし、高齢者では固有感覚が低下しているため、バランス維持に苦労することがあります。

 


高齢者では、これらの感覚の低下により、立位バランスを維持するために各感覚系による貢献の再調整が必要になります。特に、固有感覚の低下は高齢者における転倒リスクの増加に直接関連しているため、固有感覚のトレーニングを通じてこの感覚を強化することが、高齢者の立位バランスの改善には非常に重要です。

スロートレーニングとプロプリオセプションの関係

 

スロートレーニング(スロートレーニングは、ゆっくりとした動きで筋肉を鍛えるトレーニング方法です)とプロプリオセプション(固有感覚)の関係は密接です。

 

スロートレーニングは、ゆっくりと筋肉を伸縮させることで筋力を高め、バランス感覚や体の動きの制御を改善します。このトレーニング方法がプロプリオセプション、つまり体の位置や動きを認識する感覚を強化するカニズムについて説明します。

 

 

感覚受容器の活性化:

スロートレーニングにより、筋肉や腱、関節にある感覚受容器が刺激されます。ゆっくりとした動きは、これらの受容器からの信号の精度を向上させ、体の位置や動きに関するより正確な情報を脳に送信することができます。

 

神経伝達の向上:

ゆっくりとした動作は、神経系統の使用を促し、これにより神経伝達が強化されます。神経伝達の効率が向上すると、体の位置や動きに対するより迅速で精密な反応が可能になります。

 

運動制御の強化:

スロートレーニングは運動制御を改善することにも寄与します。運動中に体の各部位の正確な位置を意識することで、よりスムーズで正確な動きができるようになります。これにより、日常生活での動作の質が向上します。

 

バランス能力の向上:

スロートレーニングを行うことで、特に不安定な状況下でのバランス保持能力が向上します。体の位置や動きに対する意識が高まることで、立ち姿勢や歩行時の安定性が改善されます。

 

怪我の予防:

プロプリオセプションが向上すると、不意の動きや不安定な環境に対する体の反応が改善されるため、転倒や怪我のリスクが低下します。

 

 

スロートレーニングは、これらのメカニズムを通じて、プロプリオセプションを強化し、より安定した動作や姿勢を実現するために有効です。日常生活での動作の質の向上、スポーツパフォーマンスの強化、怪我の予防など、さまざまな利点があります。

 

プロプリオセプションと高齢者の運動療法

 

高齢者のプロプリオセプションを刺激し、能力を向上するための運動療法は、バランスや筋力を向上させるための様々な運動を含むプログラムとして設計されることが一般的です。

 

以下に、プロプリオセプションを刺激するためのエビデンスのある運動療法の内容、必要頻度、必要回数、必要時間について詳しく説明します:

 

バランストレーニング:
バランストレーニングは、高齢者のプロプリオセプションを刺激し、バランス能力を向上させるための効果的な方法です。バランストレーニングには、片脚立ち、タイプライター歩行、平衡板やボールを使ったバランス練習などが含まれます。

 

筋力トレーニング:
筋力トレーニングは、筋力の向上だけでなく、プロプリオセプションを刺激するための重要な方法です。下肢の筋力トレーニングやコアトレーニングを行うことで、関節の安定性とプロプリオセプションを向上させることができます。

 

均衡感覚を刺激する運動:
均衡感覚を刺激する運動もプロプリオセプションを向上させる効果があります。例えば、不安定な地面での歩行や、身体の位置を変えながらのバランス練習などが含まれます。

 

これらの運動を組み合わせた継続的なプログラムが、高齢者のプロプリオセプションを刺激し、能力を向上させるのに効果的です。

 

一般的には、週に2〜3回の運動セッションを行うことが推奨されます。各セッションの時間は、10分から30分程度が一般的ですが、個々の能力や体力に応じて調整する必要があります。運動の種類や強度も個々の能力に合わせて適切に調整することが重要です。

 

また、定期的な評価とプログラムの調整が重要です。個々の進歩や課題に応じて、運動内容や強度を変更し、プロプリオセプションを刺激し続けることが必要です。