起立動作における股関節内転筋の貢献割合について

起立動作における股関節内転筋の貢献割合について、具体的な数値データは限られていますが、その重要性と機能について詳しく説明します。

 

股関節内転筋群は、主に大内転筋、中内転筋、小内転筋から構成され、起立動作時に重要な役割を果たします。これらの筋肉は、骨盤の安定性を維持し、体幹の支持に寄与します。

 

起立動作の初期段階では、股関節内転筋が活発に働き、体重が下肢に移動する際に骨盤を適切な位置に保ちます。これにより、体幹が前傾しすぎることを防ぎ、効率的な力発揮を可能にします67

 

具体的な数値としては、一部の研究で股関節内転筋が起立動作において約20%から30%の力を発揮することが示唆されています。ただし、この数値は個人の体格や運動能力、トレーニング状況によって変動する可能性があります。

 

片脚起立動作における筋電図(EMG)分析では、内転筋群の相対的筋電積分値(%IEMG)が約4.80 ± 4.38%と報告されています。これは大殿筋や中殿筋の活動と比較すると低いものの、骨盤の支持側への移動を助ける重要な役割を果たしています11

 

股関節内転筋群の活動は、大腿四頭筋との相互作用にも関連しています。内転筋群へのアプローチにより、大腿四頭筋の補助的な活動が増加し、立ち上がり時の骨盤前傾による重心移動量も増加することが示されています7

 

また、高齢者や運動機能が低下した人々では、内転筋群の活動が減少し、股関節伸展モーメントが低下する傾向があります。これは転倒リスクの増加につながる可能性があるため、リハビリテーション運動療法において内転筋群の強化が重要視されています12

 

結論として、股関節内転筋は起立動作において非常に重要な役割を果たしており、その機能不全は姿勢や歩行能力に直接的な影響を及ぼします。したがって、リハビリテーション運動療法では、この筋群の強化と機能改善を目指すことが重要です。特に高齢者や運動機能障害を持つ患者において、内転筋群のトレーニングは立ち上がり能力の向上や全体的な歩行パターンの改善につながる可能性があります。