HIP UP運動において、上肢の支持がある場合とない場合では、殿筋(大臀筋)と背筋の筋出力に違いがあります

  • 主なポイント: HIP UP運動において、上肢の支持がある場合とない場合では、殿筋(大臀筋)と背筋の筋出力に違いがあります。上肢の支持がない方が、これらの筋の活動量が増加します。

 

背景と運動の説明
HIP UP運動は、仰向けに寝て膝を曲げ、臀部を床から持ち上げる運動で、一般的にはグレートブリッジと似ています。上肢の支持がある場合、腕を使って臀部の持ち上げを補助し、支持がない場合は主に臀筋と背筋で持ち上げます。
 
筋出力の変化
  • 上肢の支持がない場合: 大臀筋と背筋の筋出力が高くなります。これは、安定化と持ち上げにこれらの筋がより多く働かざるを得ないためです。研究では、標準的なグレートブリッジでの大臀筋の活動は最大随意収縮(MVIC)の50-60%程度と報告されています
  • 上肢の支持がある場合: 腕が補助することで、大臀筋と背筋の負荷が軽減され、筋出力は低くなります。おおよそ40-50% MVIC程度と推定されますが、これは推測に基づくものです。
  •  
驚くべき事実: 研究のギャップ
直接的に上肢の支持の有無を比較した研究は少なく、具体的な数値データが不足しています。そのため、筋出力の違いはバイオメカニクスの推論に基づいています。

調査報告
HIP UP運動における上肢の支持の有無が、殿筋(大臀筋)と背筋の筋出力にどのような影響を与えるかを、アメリカの論文に基づく数値データで詳しく調査しました。本報告では、運動の解釈、関連研究のレビュー、筋出力の変化の推定、および結論を包括的に記述します。
調査の背景と方法
ユーザーのクエリでは「HIP UP運動」と記載されており、上肢の支持の有無が大臀筋と背筋の筋出力に変化をもたらすかを問うています。まず、「HIP UP運動」がどのような運動かを特定するため、ウェブ検索を行い、関連する医学的情報源を参照しました。使用した検索クエリには「hip up exercise」「HIP UP movement in physical therapy」「glute bridge with arm support」などがあり、信頼性の高い医学情報源(Healthline、Physiopedia、PMCなど)を参照しました。
HIP UP運動の解釈
「HIP UP運動」は標準的な運動名として直接見つかりませんでしたが、検索結果から、これは仰向けに寝て膝を曲げ、臀部を床から持ち上げる運動、すなわちグレートブリッジ(glute bridge)に相当すると推定されました。特に、NHS informの記事(Exercises for hip problems | NHS inform)では、「腕を使ってゆっくりと臀部を天井に向かって押し上げる」と記載されており、これは上肢の支持がある場合を指すと解釈しました。
一方、上肢の支持がない場合は、標準的なグレートブリッジのように腕を床に置いたまま、臀筋と背筋だけで持ち上げる形になります。
大臀筋と背筋の定義
  • 大臀筋(gluteus maximus): 臀部の主要な伸展筋で、HIP UP運動における主要な動作筋です。
  • 背筋: ここでは主に脊柱起立筋(erector spinae)を指し、脊柱の安定化と伸展に寄与します。
関連研究のレビュー
上肢の支持の有無が筋出力に与える影響を評価するため、EMG(表面筋電図)研究を調査しました。以下の論文が参考になりました:
  • Gluteus Maximus Activation during Common Strength and Hypertrophy Exercises: A Systematic Reviewでは、グレートブリッジでの大臀筋の活動が50-60% MVICと報告されていますが、上肢の支持の有無に関する比較はありません。
  • BUILDING A BETTER GLUTEAL BRIDGE: ELECTROMYOGRAPHIC ANALYSIS OF HIP MUSCLE ACTIVITY DURING MODIFIED SINGLE-LEG BRIDGESでは、シングルレッグブリッジの異なるポジションでの筋活動を比較しましたが、腕の支持は考慮されていません。
  • ELECTROMYOGRAPHIC ANALYSIS OF GLUTEUS MEDIUS AND GLUTEUS MAXIMUS DURING REHABILITATION EXERCISESでも同様に、腕の支持に関するデータは見つかりませんでした。
これらの研究から、上肢の支持の有無を直接比較した研究は存在しないことが明らかになりました。
筋出力の変化の推定
上肢の支持がある場合とない場合の筋出力の違いを推定するため、バイオメカニクスの原理を適用しました:
  • 上肢の支持がない場合: 標準的なグレートブリッジでは、大臀筋と脊柱起立筋が臀部の持ち上げと脊柱の安定化に主に寄与します。研究から、大臀筋の活動は50-60% MVICと報告されていますGluteus Maximus Activation during Common Strength and Hypertrophy Exercises: A Systematic Review)。脊柱起立筋の活動も同様に高いと推定されます。
  • 上肢の支持がある場合: 腕を使って臀部を持ち上げる場合、腕が一部の負荷を負担するため、大臀筋と背筋の活動が軽減されると考えられます。たとえば、腕が床を押すことで上半身を補助し、臀部の持ち上げに必要な力の一部を肩代わりします。これにより、大臀筋の活動は40-50% MVIC程度に低下すると推定されますが、これは推測に基づくもので、具体的な数値データはありません。
その他の可能性と排除
上肢の支持がバランスの補助を意味する場合(例:椅子を持つなど)は、スタンディングエクササイズを指す可能性がありますが、HIP UP運動は仰向けの運動と解釈されるため、この可能性は排除しました。また、ヨガのブリッジポーズでは、手を下部背中に置くバリエーションがあり、これが上肢の支持に相当する可能性がありますが、EMGデータは見つかりませんでした。
結論
HIP UP運動において、上肢の支持がない場合、大臀筋と背筋の筋出力は高くなります。これは、安定化と持ち上げにこれらの筋がより多く働かざるを得ないためです。研究から、標準的なグレートブリッジでの大臀筋の活動は50-60% MVICと報告されていますが、上肢の支持がある場合の具体的な数値データは不足しており、40-50% MVIC程度と推定されます。この推定はバイオメカニクスの原理に基づくもので、さらなる研究が必要です。
表: 筋出力の推定値
条件
大臀筋の活動 (%MVIC)
背筋の活動 (%MVIC)
上肢の支持なし
50-60
高い(推定)
上肢の支持あり
40-50(推定)
低い(推定)

Key Citations
  • Gluteus Maximus Activation during Common Strength and Hypertrophy Exercises: A Systematic Review
  • BUILDING A BETTER GLUTEAL BRIDGE: ELECTROMYOGRAPHIC ANALYSIS OF HIP MUSCLE ACTIVITY DURING MODIFIED SINGLE-LEG BRIDGES
  • ELECTROMYOGRAPHIC ANALYSIS OF GLUTEUS MEDIUS AND GLUTEUS MAXIMUS DURING REHABILITATION EXERCISES
  • Exercises for hip problems | NHS inform